Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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献本御礼:井上慧真『若者支援の日英比較:社会関係資本の観点から』
日本の地域若者サポートステーション事業とそのモデルになったイギリスの事業の比較だそうです。どうもありがとうございます。勉強させていただきます。
献本御礼:神林博史『1歩前からはじめる「統計」の読み方・考え方』第2版
本書の第 2 版をいただきました。上のリンクと写真は第 1 版かもしれません。第 2 版の帯によると、
データのアップデートに加え、「統計の基本の基本」の解説をさらに充実
だそうです。どうもありがとうございます。勉強させていただきます。
献本御礼:木下衆 2019『家族はなぜ介護してしまうのか:認知症の社会学』世界思想社
京大に提出した博士論文をブラッシュアップしたものだと思います、たぶん。どうもありがとうございました。勉強させていただきます。
献本御礼: 佐藤裕, 2018 『新版 差別論:偏見理論批判』
2005年に出た本の改訂版のようです。勉強させていただきます。ありがとうございました。
献本御礼:浜田宏『その問題、数理モデルが解決します:社会を解き明かす数理モデル入門』
どうもありがとうございます。勉強させていただきます。
献本御礼:仲修平『岐路に立つ自営業:専門職の拡大と行方』
自営業の中でも特に専門職自営に焦点をあててその変化を記述した本です。勉強させていただきます。どうもありがとうございました。

JUGEMテーマ:学問・学校

献本御礼:山田昌弘『悩める日本人:「人生案内」に見る現代社会の姿』
読売新聞の「人生案内」という身の上相談の記事を題材にした本です。著者の山田先生ご自身がこの相談の回答者の一人だったということもあって、これまでの身の上相談分析とは一味違った解釈が期待できます。
献本御礼:橘木俊詔・高松理江『幸福感の統計分析』
橘木 俊詔,高松 里江
岩波書店
¥ 2,484
(2018-09-27)

本の帯には
社会学・経済学からのアプローチ
「幸せ」を感じているのは誰なのか
とあります。ありがとうございました。勉強させていただきます。
献本御礼:W. シュルフター著(田中紀行監訳)『マックス・ヴェーバーの比較宗教社会学』
最近の若い人は知らないかもしれませんが、シュルフターはヴェーバー研究で有名な人です。どうもありがとうございました。勉強させていただきます。
「体重による賃金低下:肥満差別のメカニズム」 Bozoyan and Wolbring 2018

Christiane Bozoyan and Tobias Wolbring, 2018, "The Weight Wage Penalty: A Mechanism Approach to Discrimination," European Sociological Review, Vol.34 No.3, pp.254-267.
肥満差別のメカニズムについて検討した論文。米国では体重が重すぎると賃金が低くなる傾向があることはこれまでの研究で繰り返し指摘されているが、そのメカニズムははっきりしない。女性差別の研究でよく使われているメカニズムとして、人的資本説、統計的差別説、選好による差別説、の三つがあるが、それらは過体重 (over weight) にも適用できる。つまり、体重が賃金を押し下げているのではなく、人的資本の低さが賃金を低くしているのであって、一種の疑似相関であるという説が人的資本説である。人的資本説が正しければ、人的資本を適切に統制できれば、体重が賃金を下げる効果は消滅するはずである。統計的差別説によれば、雇い主は体重を労働者の人的資本のシグナルとして用いているということになる。つまり、雇い主は必ずしも労働者の人的資本を正しく知ることはできないため、観察できるシグナル(例えば学歴やこれまでの実績)から人的資本を推測する。体重もそのようなシグナルの一つであり、体重と人的資本の間に関係があるということが統計にある程度裏付けられているというのが、統計的差別説である。この説が正しければ、雇い主が労働者の人的資本を知っているような状況では肥満差別は起きないことになる。例えば勤続年数が長いとか、人的資本の可視性が高い職種では肥満差別は起きないはずである。最後に選好による差別によると、雇い主や同僚が太っている労働者を好まないために賃金が低く抑えられると考えられる。これは勤続年数や職種とは関係ないと考えられている。

データは German Socio-Economic Panel の 2002〜2012 の偶数年で、18〜66歳の労働者である。従属変数は対数時給、肥満の指標は身長、体重、年齢、性別から推測した体脂肪 (Kg) である。人的資本は、労働経験年数、学歴、健康状態、職種、知性を測るテストの点数、である。推定にはランダム効果モデルが使われている(固定効果モデルを使うには体重の分散が小さすぎるらしい)。分析の結果、人的資本を統制しないと、体脂肪が 1kg 増えると男性なら 0.5% 、女性なら 1.1% 時給が減少するという推定結果だが(男女とも有意)、人的資本を統制すると男性の効果は半分以下に減少し有意でなくなる。女性の場合、人的資本を統制しても 0.8% 時給を下げる効果があるという推定結果である。つまり男性の場合は人的資本による疑似相関と考えてよさそうだが、女性の場合はそうとは考えられないということである。さらに年齢や就業年数と体脂肪量の交互作用効果が推定されているが、いずれも有意ではない。つまり、統計的差別説は支持できない。となると女性に関しては選好による差別説がいちばんこの分析結果には当てはまるということである。

特に異論はないのだが、「人的資本」とか「能力」とかって、どの程度適切に測定できるのかってことはつくづく考えさせられる。職種によって必要な能力は違うだろうし、一次元で構成できるのかもかなり怪しい。3〜5次元程度に分解して考えたほうがいいのかもしれない。例えば、運動能力、知力、人間関係処理能力、手先の器用さ、等々、考えられそうだが。

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