Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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時代による平均値の変化のコーホート交代効果と個人変化効果への要因分解法のRスクリプト
時代による何らかの変数の平均値の変化(例えば、ジェンダー平等主義の高まり)は、コーホート交代によって生じたのか、それとも人々が自身の態度を変容させることによって生じたのか、明らかにしたい場合がある。そのような場合、Firebaugh (1997) の提唱する線形要因分解と代数的要因分解という方法がある。以下はその計算のための R スクリプトである。使っていただくのはかまわないが、引数の指定を間違っても警告やエラーメッセージなど出ないので、自己責任で注意して使っていただきたい。
### 以下がスクリプト ###
# 線形要因分解の関数
decompL <- function(period, formula, data, subset=NULL, weights=NULL){
  l1 <- lm(formula, data, subset=subset, weights=weights) # period は d1$year といった形で指定
  vars <- all.vars(formula)   # formula, data, subset, weights は通常のlm と同じように指定
  dat <- na.omit(data[, vars]) # data は必ず指定し、formula 中の変数は すべて data に含まれるようにする
  m1 <- by(dat, period, colMeans) # period 別に各変数の平均を計算
  dif <- (m1[[length(m1)]] - m1[[1]]) # 最後の時点の平均から最初の時点の平均を引く
  output <- dif[-1] * coef(l1)[-1] # 平均の差×係数
  output <- c(dif[1], sum(output), output) # 結果変数の実際の差、モデルから予測される差、各変数の効果
  names(output)[1] <- paste("Real Change of", names(dif)[1])
  names(output)[2] <- paste("Predicted Change of", names(dif)[1])
 return(as.matrix(output)) # 縦にならべて出力
}

# 代数的要因分解
decompA <- function(P, M, digits=3){ # P is a column percent matrix of a cohort-by-year crosstab
  nY <- ncol(P) # M is a mean matrix by cohort and year. M and P must have the same size.       ### Mの欠損値は必ず NA にしないと計算がおかしくなるので注意!!!
  nC <- nrow(P)
  output <- matrix(NA, 3, nY)  # 出力用の行列
  rownames(output) <- c("Cohort Replacement", "Individual Change", "Total")
  colnames(output) <- c(
                        paste(colnames(P)[-nY], "-", colnames(P)[-1], sep=""),
                        paste(colnames(P)[1], "-", colnames(P)[nY], sep="")
  )
  for(i in 1 : (nY - 1) ){
    Pi     <- P[, i : (i + 1) ] #比率に関して2時点の行列を作る
    dif.Pi <- Pi[, 2] - Pi[, 1] # 比率の差をとる
    m.Pi   <- (Pi[, 2] + Pi[, 1])/2 # 比率の平均をとる
    Mi     <- M[, i : (i + 1) ] # 2時点の平均の行列を作る
    Mi[is.na(Mi[, 1])==TRUE & is.na(Mi[, 2])==FALSE, 1] <- #NAをNAでない年の値で置換
                                Mi[is.na(Mi[, 1])==TRUE & is.na(Mi[, 2])==FALSE, 2]
    Mi[is.na(Mi[, 1])==FALSE & is.na(Mi[, 2])==TRUE, 2] <-
                                Mi[is.na(Mi[, 1])==FALSE & is.na(Mi[, 2])==TRUE, 1]    
    dif.Mi <- Mi[, 2] - Mi[, 1] # 平均の差
    m.Mi   <- (Mi[, 2] + Mi[, 1])/2 # 平均の平均
    sum1 <- function(x) sum(x, na.rm=T)
    output[1, i] <- sum1(m.Mi * dif.Pi) # コーホート交代効果
    output[2, i] <- sum1(m.Pi * dif.Mi) # 個人変化効果
    output[3, i] <- sum1(Pi[,2] * Mi[,2]) - sum1(Pi[,1] * Mi[,1]) # 総変化  
  }
  output[, nY] <- apply(output[,-nY], 1, sum)
  return(print(output, digits=digits))
}

献本御礼:筒井・水落・保田編『パネルデータの調査と分析・入門』
前半がチュートリアルで後半が分析例になっています。ありがとうございました。勉強させていただきます。
献本御礼:M. Debnár, 2016, Migration, Whiteness, and Cosmopolitanism: Europeans in Japan
京都大学に提出した博士論文をブラッシュアップしたものだそうです。どうもありがとうございました。勉強させていただきます。
日本社会学会大会報告資料「保守主義者は反学問的なのか?」
2016年10月7日に九州大学で開催される日本社会学会大会で私がする予定の報告の資料へのリンクです。
スライドのファイル
配布資料のファイル
献本御礼:『数理社会学の理論と方法』
数理社会学シリーズで未完だった最後の一冊です。「ネットワーク論」「社会的選択理論」など、方法論の紹介のようです。ありがとうございます。勉強させていただきます。
献本御礼:永吉希久子『行動科学の統計学:社会調査のデータ分析』
記述統計量から、回帰分析、主成分分析、因子分析を経由してマルチレベル・モデルまで、基本的な考え方を、R のスクリプトと出力の解説付きで紹介したテキストです。どうもありがとうございました。勉強させていただきます。
献本御礼:濱西栄司『トゥレーヌ社会学と新しい社会運動』
京大に提出した博論を大幅に加筆訂正して書かれた本です。ずいぶんと分かりやすくなっているようで何よりです。どうもありがとうございました。勉強させていただきます。
献本御礼:柴田悠『子育て支援が日本救う:政策効果の統計分析』
先日ご本人から手渡しでいただきました。どうもありがとうございます。勉強させていただきます。
献本御礼:『がんばること/がんばらないことの社会学』大川2016
初出は、市民講座のテキストから学会発表レジュメ、紀要の論文まであり、議論の厳密さは章によってまちまちのようですが、学説や新聞投書欄の研究をもとにした記述になっているようです。どうもありがとうございました。勉強させていただきます。
階級的プロジェクトとしてのグローバル化? 国境を超えた活動の国際比較

Jan Delhey, Emanuel Deutschmann and Katharina Cirlanaru, 2015, "Between 'Class Project' and Individualization: The Stratification of Europeans' Transnational Activities," International Sociology, Vol.30 No.3, pp.269-293.
国境を超えた活動にどの程度階級間格差があるのか、そしてそのような格差が大きいのはどのような国なのかを分析した論文。グローバル化と階級の関係は様々な観点からなされていると思うが、グローバル化の主な担い手は資本家や中産階級であるとする議論は多い。経済移民は主に下層によって担われていたし、今もそうだと思うが、EU 圏内での人、金、情報の移動を考えると、ビジネス・エリートの重要性は否定できない。 Transnational Capitalist Class といった議論は、国境を超えて連帯しているのは資本家であって、労働者は分断されたままだということを示唆している。

一方、ポストモダニズムでは、階級の死とか、個人化、アイデンティティ・ポリティクスといったことがらが強調されてきた。こういった観点に立てば、グローバル化に関しても階級を強調する議論は「古い」ということになろう。むしろ、現代西欧社会では、人種やエスニシティ、ジェンダー、といった要因こそが重要だとされる。そこで、Delhey, Deutschmann, and Cirlanaru は階級と異質性(ジェンダー、年齢、居住地、父母や祖父母が移民かどうか)のどちらが、国境を超えた活動に対してより大きな影響を持つのか、明らかにし、そのような影響力が国によってどう異なるのか明らかにしようとしている。ポストモダニズム的な観点に立てば、階級間格差は、より経済発展した国では意味を持たないということになろうが、上記のような国際階級論(とでもいうべき議論)によれば、国境を超えた活動は、経済発展した国々の中産階級以上のキャリアに特有のものであると同時に、transnationalism はそういった経済発展した国々の資本家や中産階級の階級文化となっているとされる。

データは 2010 年のユーロバロメータ 73.3 (27か国)で、自身が移民の対象者は分析から除外してある。従属変数は transnationalism index で、

  • 長期休暇を外国で過ごすか
  • 外国で働いたことがあるか
  • 外国人の友人がいるか
  • 外国のニュースをフォローしているか、
  • 以下省略
といった 12個の項目を足し合わせたもの(アルファは不明)である。EGP階級図式の変形版(自営かどうかや役職の情報がないせいなのか、自営とsupervisor of manual workers のカテゴリが消滅している)が階級の指標として用いられており、その効果の大きさは国によって大きく異なり、階級だけを説明変数として投入した場合、決定係数はラトヴィアの 0.5% からアイルランドの 15% までばらついており、学歴と階層帰属意識、支払い困難度(ワーディングは不明)を説明変数に加えると 4% (ラトヴィア)〜 25% (アイルランド)まで決定係数は上がる。異質性の指標である、年齢、性別、居住地、祖父母が移民かどうか、父母が移民かどうか、といった変数だけを投入した場合の決定係数も国によってさまざまだが、前述の階級だけのモデルの決定係数に比べれば大きい国が多い(20 / 27)。しかし、前述の階級や学歴、階層帰属意識を投入したモデルに比べると、決定係数の小さな国が多い(15 / 27)。このような階級の効果の大きさと一人当たり GDP の相関を見ると、正の有意な値を示している。このような傾向はマルチレベルモデリングでも確認されている。つまり、経済発展した国ほど国境を超えた活動の階級間格差は大きい、という結果が示されている。なお、階級間格差はラトヴィア、エストニア、リトアニア (バルト三国)、ルーマニアといった旧社会主義国で小さいのだが、おおむね経済力で説明がつくとされている。

分析はいろいろ雑だが、国境を超えた活動と階級の関係という問題設定は面白いと思う。異質性を扱うのにエスニシティ関連の指標が父母・祖父母が移民かどうかしかないとか、階級カテゴリも変とか、ケチはいくらでもつけられそうである。しかし、国際比較なのでそういった突っ込んだ分析が難しいのは仕方ないのだろう。ただ問題設定として階級と異質性を区別したうえで、どちらのほうが効果が大きいかが議論されているのだが、どちらが効果が大きいかといった議論は無意味なように思える。それはどういう変数(質問項目)があるかにかなり規定されてしまうので、こういう結果が出るのはそういう質問紙の構成だからでしょう、という気はする。とはいえ、国境を超えた活動のような人気のトピックについて、統計的に論じている点は高く評価したい。

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