Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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脱教養主義 or 視野狭窄?

関西社会学会大会の感想。今回は、調査結果の提示をするような報告ばかり聞いていたせいもあるのだが、外国語の文献を参照するような研究報告にほとんど出会わなかった。実証系の研究者には昔からある傾向なのかもしれないが、私のような昔かたぎの研究者には違和感があった。

私は、教養主義に対しては批判的なつもりだが、正直な実感として言えば、外国語の文献が文献リストに入っていないような論文や報告をするのは、「恥ずかしい」。あるいは、「かっこ悪い」といったほうがよいだろうか。いずれにせよ、私の場合、英語の文献をいくつか入れるのが常である。

もちろん、英語で書かれたものが日本語で書かれたものより優れているとは限らないし、テーマによっては外国語の文献を参照する必要のない場合もあろう。また、学会発表の性格上、中間報告であって、本格的な考察はまだという場合もある。

しかし、どんな問題を扱っていようと、関連する問題を扱った英語の文献がないということはほとんどありえない。例えば、フリーターも「ニート」も日本特有の概念だが、若年のunderemploymentは欧米で20年近く早く経験された社会現象であり、類似の問題はある。むしろ、日本でのそれと欧米でのそれがずれているぐらいのほうが、様々な観点から比較が可能になって、研究の発展を促すかもしれない。

無理やりに英語の文献と関連付ける中で、より一般的な問題、より大きな問題・文脈の中に自分の研究を位置づけることができるようになるかもしれない。そのように考えると、教養主義も悪いことばかりでもないと思えてくる。関西社会学会で私が垣間見た傾向は、いい意味での脱教養主義の発展なのか、それとも各自が視野狭窄に陥って、広い文脈に自分の研究を位置づけられなくなりつつある兆候であろうか。

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