Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
<< December 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
 
RECOMMEND
後期近代と価値意識の変容: 日本人の意識 1973-2008
後期近代と価値意識の変容: 日本人の意識 1973-2008 (JUGEMレビュー »)

NHKの日本人の意識調査のデータをつっこんで分析した本です。
RECOMMEND
Labor Markets, Gender and Social Stratification in East Asia: A Global Perspective (The Intimate and the Public in Asian and Global Perspectives)
Labor Markets, Gender and Social Stratification in East Asia: A Global Perspective (The Intimate and the Public in Asian and Global Perspectives) (JUGEMレビュー »)

直下の和書の英語版です。審査を通過するためにレフェリーのコメントに従って若干修正してあります。
RECOMMEND
東アジアの労働市場と社会階層 (変容する親密圏/公共圏)
東アジアの労働市場と社会階層 (変容する親密圏/公共圏) (JUGEMレビュー »)

GCOEの成果をまとめた本です。日本を中心に韓国、台湾(中国も少し)との比較研究をしてます。
RECOMMEND
若年非正規雇用の社会学‐階層・ジェンダー・グローバル化 (大阪大学新世紀レクチャー)
若年非正規雇用の社会学‐階層・ジェンダー・グローバル化 (大阪大学新世紀レクチャー) (JUGEMレビュー »)
太郎丸 博
拙著です。非正規雇用に関する本はたくさんありますが、「なぜ正規雇用と非正規雇用では賃金格差があるのか」など当たり前と思われがちな問題を突き詰めて考えてみました。
RECOMMEND
フリーターとニートの社会学
フリーターとニートの社会学 (JUGEMレビュー »)

拙編です。オーソドックスな計量社会学の手法で、若年非正規雇用や無職にアプローチした本です。白い装丁なので、輪郭がわからないですね...
RECOMMEND
人文・社会科学のためのカテゴリカル・データ解析入門
人文・社会科学のためのカテゴリカル・データ解析入門 (JUGEMレビュー »)
太郎丸 博
拙著です。軽く読み流すのは難しいですが、まじめに一歩一歩勉強するために作りました。
ARCHIVES
RECENT COMMENT
  • 阪大を去るにあたって: 社会学の危機と希望
    charlestonblue (10/08)
  • Cohen et. al 2011 「フェミニズムの方法論的インパクト: 社会学のやっかいな問題?」
    abe daijyu (10/05)
  • アマチュア社会学の可能性
    読者 (02/20)
  • 社会システム理論の野望、あるいは全体性へのオブセッション
    宮国 (12/19)
  • 片山他 2015「図書館は格差解消に役立っているのか?」
    オカベ (12/09)
  • ランダム効果の意味、マルチレベル・モデル、全数調査データ分析
    YZ (12/07)
  • 学歴社会から「学習資本」社会へ:日本の教育と社会における階級形成の再編
    赤尾勝己 (02/11)
  • グラフィカル・モデリングとは?
    anonymous (11/30)
  • Rスクリプト覚書き:vglm関数で平行性の仮定を置かずに順序ロジット
    ほっくー (08/05)
  • 台湾の経済: 典型NIESの光と影
    おーまきちまき (07/19)
RECENT TRACKBACK
 
『雇用不安』を読む

雇用不安今回も読書ノート。

野村正實,1998,『雇用不安』岩波新書
私は労働経済学は素人なので、専門家の目から見た評価は知らないが、よくまとまったいい本だと思う。タイトルはいまいちだが、内容は面白い。日本は、20世紀のあいだ、非常に低い失業率を維持をしてきた。これはかなり特異な現象で、その理由を追求しているのが本書である。

日本では、最近、失業率が上がっているが、世界には失業率10%程度の国はごろごろある。それに比べれば、まだ日本の失業率は低いほうだと言える。著者によれば、このような現象が生じるのは、日本では完全雇用ではなく、「全部雇用」がかなり実現されてきたからである。全部雇用とは、各人が最大限の生産性をあげているわけでも、自分の賃金に満足しているわけでもないが、とにかく雇用は確保しているような状態である。完全雇用は、一般均衡理論と関連しているようで、非自発的失業さえゼロになれば、実現されていると定義されているようである。一般均衡理論の世界では、賃金に不満なら労働者は、自発的に離職するはず、労働者の生産性が低いなら解雇されるはず、という想定が当然ある。しかし、必ずしも実際にはそうなるとは限らない。大企業は、人的資本を蓄積した労働者を解雇するよりも新規採用を減らすことを選好するし、賃金に不満でも現実的に他の選択肢がなければ、低賃金に甘んじる非正規雇用や中小企業の労働者はたくさんいる。また、女性や高齢者など景気の良いときには働き、景気が悪くなると非労働力になる「縁辺労働力」が多数存在するので、景気が悪くても失業率は上がりにくい。

しかし、このような日本特有の状況は次第に崩れている。大企業も中小企業も、正社員の比率を減らし、非正規雇用を増やすことをやめようとしない。「縁辺労働力」ではない人々が、このように解雇されやすい地位に多くつくようになってきている。そのため、失業率は次第に上がってきているというわけである。 このような趨勢は、景気のよさとは独立なので、失業率は長期的には徐々に上がる可能性が示唆される。

『フリーターとニートの社会学』という本がもうすぐ出るが、この本を準備するとき、急いで出版しないと、景気が好転してフリーターが激減し、この本が想定していた状況が変わってしまうのではないか、と「憂慮」した(ある意味ではもちろん「期待」した)のだが、今となっては杞憂であったとしか言いようがない。確かにいわゆるフリーターの数は減っているが、それは若年人口の減少でほとんど説明がつく程度の減少であり、実質的には減っていない。確かに、今年の大学生の就職戦線はバブル期以来の売り手市場だそうだし、高卒の求人倍率も1倍を超えた。しかし、だからといって非正規雇用の数が減っているというわけではないのである。

スポンサーサイト
- | 00:15 | - | -
コメント
from: みやざわ   2006/09/22 10:21 PM
はじめまして。
はじめてコメントさせていただきます。

フリーターとニートの数が減る変わりに、ワーキングプアが増えているのかな、と思いました。自分で統計をとったわけではないし、資料でデータを集めたわけでもないので、私の単なる予想です。

>世界には失業率10%程度の国はごろごろある。それに比べれば、まだ日本の失業率は低いほうだと言える。

失業率の算定方法は国によって違わないのですか?もし、違っているのなら、単純に比較できないのかな、と思いました。
from: tarohmaru   2006/09/23 9:55 AM
失業の定義が国によって微妙に異なるのはおっしゃるとおりで、比較可能なように失業率の補正が労働経済学者によって試みられています。著者によれば、補正しても日本の失業率は欧米に比べて低いそうです。私はそのあたりについては詳しくないので、とりあえず著者の言うことを信じてます。
from: ワタリ   2006/11/15 1:25 PM
>太郎丸さんのこの記事へ

正規の雇用でもリストラ・過労死を避けるための立ち去りなどがあります。その後、再就職しようとしたとき、派遣など辺縁労働しかオプションが残されていない層もいるのではないでしょうか?


>みやざわさん

はじめまして。

>フリーターとニートの数が減る変わりに、ワーキング>プアが増えているのかな、と思いました〜私の単なる>予想です。

定義の問題、統計の取り方や解釈の仕方の問題もからむので難しい問題ですね。

実際には、フリーターのうちかなりの部分が不安定雇用であり、なおかつ自立したくてもできない半失業・部分就業の状態なのではないでしょうか。
たとえば日雇いの派遣の場合なら、時給800円で荷物を運ぶ仕事が、二週間のうち10日続く。そのあと仕事自体が消失する。といった按配です。







from: tarohmaru   2006/11/15 2:59 PM
「再就職しようとしたとき、派遣など辺縁労働しかオプションが残されていない層もいる」のはとうぜんその通りですが、そういう層が離職者の多数派なのか、それとも例外的な少数の人々なのかによって政策論議も変わってきますから、そこを見極める必要があるのではないかと。
from: tarohmaru   2006/11/15 3:00 PM
「再就職しようとしたとき、派遣など辺縁労働しかオプションが残されていない層もいる」のはとうぜんその通りですが、そういう層が離職者の多数派なのか、それとも例外的な少数の人々なのかによって政策論議も変わってきますから、そこを見極める必要があるのではないかと。
from: みやざわ   2006/11/25 12:21 AM
こんばんは。
ワタリさん、レスありがとうございます。
今頃、気づきました。

tarohmaruさま

>離職者の多数派なのか、それとも例外的な少数の人々なのかによって政策論議も変わってきますから

具体的には、どのように政策論議が変わってくるのでしょうか?フリーターとは、不安定雇用であり、その後の就職は派遣や周縁労働しかないものだと思い込んでいました。
コメントする









 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://sociology.jugem.jp/trackback/154
短時間正社員とは、法定労働時間(週40時間)より勤務時間が短い正社員の身分が保証される雇用形態で....
有給休暇と就職【再就職手当・失業給付金・健康保険・年金手帳】手続きガイド | 2006/09/29 10:27 PM
ハローワーク体験談数年前に行った事があります。かなり借金を抱えてまして、職を失った私は自分で、何とか次の仕事を探そうと努力しました。はっきり申しあげますと・・・ハローワークで仕事が見つかる確立は少ないと思いますね。インターネットから情報を探すにも毎回
ハローワーク 求人情報局 | 2006/11/10 12:37 AM
 

Copyright (C) 2004 paperboy&co. All Rights Reserved.

Powered by "JUGEM"