Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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アマチュア社会学の可能性

学生を除けば、アマチュアの社会学者というのは数が少ない。アマ社会学者とは、社会学とは関係のない仕事をしながら、余暇を使って社会について研究する社会学者のことであると定義しておく。なぜアマ社会学者は少ないのだろうか。歴史ならば郷土史家、生物ならば鳥や小動物や昆虫の研究をしているアマチュアの研究者がおり、それぞれの学問を支える力となっているらしい。文芸評論の類ならば、ホームページ上に山のようにある。もちろん、アマチュア研究者といっても、そのレベルは、プロと同等かそれ以上の人から、ほとんど素人までいろいろいるだろう。しかし、こういった裾野の広さは、社会学者にとってはうらやましくも思える。例えば、身の上相談記事の変遷を研究しているアマ社会学者とか、ラブホテルの盛衰を研究しているアマ社会学者とか、いてもいいような気がするのだが、少なくとも日本社会学会でこういった研究者が発表することはほとんどない(もちろん、数は少ないがアマ社会学者の報告はある)。

海外のことはよく知らないが、少なくとも日本の社会学者は、社会学がいかに面白いかを力説してきた。そんなに面白いのならば、アマチュアの社会学者がもっといてもよさそうなものだが、実際にはあまりいない。なぜなのだろうか。実際には面白くないのだろうか。

数少ないアマ社会学者の報告を聞いていると、歴史や自然誌のアマ研究者とは対照的である。歴史や自然誌の場合、かなりディーテールな事実を収集・整理することに情熱が傾けられるのだが、社会学の場合は、システム論のように、抽象的な水準での議論に終始するものが多いような気がする。これはアマ社会学者の特徴というよりは、プロも含めた(日本の?)社会学全体の特徴なのかもしれない。別に抽象的な水準での議論が悪いわけではないが、アマで抽象的な問題に関して考え、研究成果を出すのはなかなか難しいのも分かるような気がする。プロのほうが研究に取れる時間も多いし、色々な理論に触れる機会も多い。抽象的な理論ではプロの社会学者のほうが有利だろう。それに比べて、ある地域の歴史の研究ならば、その地域に長年住んでいる人のほうが有利であり、大学の教員ではかなわないような研究成果を出すこともあるというのは、ありそうな話である。

それでは、博物誌的なアマ社会学者はなぜ少ないのだろうか。よくはわからないのだが、おそらく、教育の仕方が悪いのではないかと今は考えている。社会学のゼミや研究会でありがちな形式は、古典的な著作や話題の本を読んで、それについて論じたり意見を交換するというスタイルである。このスタイルが悪いわけではない(私のゼミもこのスタイルが多い)が、こういったゼミだけでは、「本を読みそれを批評すること」以外には、研究の方法が身につかない。もちろん調査実習で調査の方法を学べばいいのだが、社会調査の実習は様々な困難を抱えている(ちょっと長くなるのでこれについては書かない)。結局、底の浅い評論家しか育たない。実際、低レベルの社会批評ならば、ウェッブ上のゴロゴロしている。しかし、これらのほとんどは「研究」といえるようなシロモノではない。

今ある社会調査は、1 質問紙を使った大量調査と、2 少数のインタビュー、それから 3 参与観察やフィールドワークの3つに大別されるように思える。いずれもアマの研究者が暇を見つけながらやるのは難しい。しかし、社会現象を観察する方法はこの3つだけではない。前述のように、新聞や雑誌の記事を通して社会を見ることはできるだろうし、地の利を生かした事実の収集もアマ社会学者のアドバンテージであるように思われる。社会学教育に求められているものの1つは、こういった地道に続けられる調査スタイルの確立なのかもしれない。そのことが社会学の裾野を広げることにつながるかもしれない。

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コメント
from: あると   2007/01/07 1:30 PM
はじめまして。たまに読ませていただいているあるとと申します。本業は全く関係の無い業種なんですが、知人に何故か社会学やっていた人間が数人居たお陰で、社会学に興味を持ってしまった者です。
アマチュア社会学者「予備軍」は意外と多いと思います。ブログで社会ネタを書いている人を多く見ます。ブログの女王きっこのブログなんて、社会学に近いところをチクチクチクチク書いているように思えます。
ただ、関心はあっても素人が手を出すとつまらない愚痴になりがち。しかも、身近な話題をやっているとは一般の人に思われていないようで、敷居が高く感じられるようです(自分も感じます)。また、関心のあるテーマがあっても方法論を殆ど知りませんでした。
例えば自分は秋葉オタクや渋谷ヤマンバに興味があったのですが、その場所に繰り出すだけで特に記録もせず、躊躇しているうちに後者は絶滅してしまいました。今思えば考現学のような事をしていればよかったですね。
今日このブログ記事を見て、アマチュアなりの意義を再確認いたしました。精進します。
from: tarohmaru   2007/01/07 5:51 PM
そうですよね。関西には、「現代風俗研究会」 http://kobe.cool.ne.jp/genpoo/ というのがあって、中には私がイメージするようなアマの社会学者がいらっしゃるのかもしれません。

 秋葉オタクも、明確な計画を持って、系統的に観察していけば、面白いと思います。
from: 読者   2017/02/20 9:02 AM
はじまめして。読者と申します。折に触れて太郎丸先生のブログを読ませていただいております。

近年、退職後の生涯学習として大学院で社会学を学ばれる方が少なくない印象があります。そうした方々が、業績・就職・社会学者コミュニティとはある程度離れた形で、研究と発表を続けていけるような場所と環境も大事になるのではと感じています。

アマチュア郷土史家による地域社会史や口述史研究は、社会学とも大きく重なる部分があり、アマチュア社会学者といってもよいのかもしれません。

先生が指摘されている動植物のアマチュア研究者ですが、個人で、あるいは数名のサークルや趣味の会のような形で行い、その成果をHP上にで公表しているのをしばしば見かけます。アマチュア社会学者がこのような形で研究をしていければ面白いかもしれません。先生のHPの「文書」コーナーに近い発表スタイルになりますでしょうか。

昨今2次データが充実しているため、統計分析を身に着けたアマチュア計量社会学者がいてもいいのかなと思いました。特に海外のデータや、日本の各地で行われるGSSなどを分析してみたい方も潜在的に多いのではないでしょうか。

アマプロ問わず、手堅い実証社会学を積み上げられる土壌ができると良いです。

長文失礼いたしました。
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