Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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「周辺度数をコントロールすること」と「構造/循環移動の識別」の違い

平尾君の修論を理解するために下記の論文を読んでみた。

Sobel, M. E. (1983). "STRUCTURAL MOBILITY, CIRCULATION MOBILITY AND THE ANALYSIS OF OCCUPATIONAL MOBILITY: A CONCEPTUAL MISMATCH." American Sociological Review 48(5): 721-727.
世代間移動の分析では、かつて総移動率を循環移動率と構造移動率に分割していた。例えば、ある社会が N人の人からなっているとすると、そのうち F人が父親と違う職についていたとする(社会成員はすべて職を持つと仮定)。そのとき F/N が総移動率である。ところで、父親世代と子世代の間で必要とされる職業が違っていると、嫌でも親と違う職に就かなければならなくなることがある。例えば、1950年代に生まれた人の場合、親世代は4割程度は農業だったはずであるが、彼らが成人するころには、農業でそれほど多くの人が「生活」することは不可能であっただろう。それゆえ、本人たちの希望や社会の平等性とは関係なく、父親とは違う職業に就く人が出てくる。こういう人たちの割合を構造移動率という。例えば、親世代の農業が40%で子世代では10%に減少していたとすると、親が農業の人たちのうち40-10=30%は構造移動したという計算になる。もちろん、それ以外にも親と違う職に就く人もいるので、これを循環移動と呼ぶ。

近年、こういった係数はほとんど用いられなくなって、最近では対数線形モデルが用いられるようになっている。問題は、単純な階層的対数線形モデルで、上記のような構造移動と循環移動を識別できるかというところにある。上記のSobel論文によれば、両者は識別できない。確かに階層的対数線形モデルでは周辺度数の効果はコントロールされているが、それは構造移動の効果をコントロールすることとは別のことである。それゆえ、単純な階層的対数線形モデルを使うならば、構造移動と循環移動といった概念は使うべきでないとSobeは主張する。

現実的に考えて、Sobelの議論は正しい。いわゆる「移動率」は階層的対数線形モデルのパラメータではうまく表現できないことは、少し計算して見ればすぐにわかることなので、Sobel の議論はもっともである。混乱してはならないのは、Sobelの主張は「構造移動と循環移動」という概念と単純な階層的対数線形モデルのミスマッチであり、対数線形モデルを利用することそのものは否定していない。すなわち、周辺度数の効果をコントロールしたうえで、交互作用パラメータを見て移動障壁の高さや移動のパターンの変化について論じることについては、完全にニュートラルである。すなわち、父職や子職の周辺度数の効果と、両者の交互作用の効果を分けて考えるのは合理的であるし、父職と子職の関連は両者の交互作用パラメータであらわされると考えることは Sobelの議論と矛盾しない。ただその関連は、いわゆる循環移動とは一致しないというだけのことである。実際、Sobeは安田係数のような古い係数型のアプローチにも批判的であるから、結局、「対数線形モデルをうまく使いましょう」という結論になる。

それゆえ、例えば1955-2005のあいだに父職と子職の交互作用パラメータが一様に弱まったならば(例えばunidiff modelを使って)、いわゆる開放性は高まったと考えてよいように思える。逆に父職と子職の交互作用に変化がないならば、それは開放性には変化がないということである。

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