Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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『質問力』あるいはダイアログの技法

某会議のあいだ退屈だからパラパラと読んでいたら、おもわず引き込まれて最後まで読んでしまった。会議中、こっそり本を読むのは存外難しい。なぜなら、会議の内容に耳が行ってしまうので、集中して本を読めないのである。それゆえ私はあまり会議中に読書はしないのだが、これは引き込まれた。斎藤孝恐るべし。

本の内容は、「質問力」というよりは「対談力」に近い。出てくる事例も対談が多い。ダニエル・キースと宇多田ヒカルの対談などは秀逸である。斎藤孝もきっといろいろ対談しているはずなので、その中でいい質問をしてくる相手もくだらない質問をしてくる相手も当然いたはずである。そういう経験からいい質問をする技法に興味を持ったのかもしれない。

私は商売柄、自分で論文を書いたり他人の論文を評価したりするのだが、論文の読み・書き・評価には「質問」は基本的に必要ない。論文を書く準備のために人に質問することはあるが、特に読んだり評価したりするのに質問はいらない。よく卒論や修論には口頭試問というのがあるのだが、単に論文を評価するためならば試問は必要ない。読んでわからないことがあっても、著者の書き方が悪いせいなのか、それとも私の予備知識が足りないせいなのかはすぐにわかる。前者であれば評価が下がるだけのことで、質問しなくても評価はできるのである。基本的に論文を書くという作業は一方通行であり、モノローグに近い。というか、正確にはオーディエンスにもわかるように自問自答するのが論文であるというべきかもしれない。そういう意味でよく言われるように、いい「問い」を立てる力が決定的に重要になるのだが、斎藤が論じているのはそういう問いをたてる力ではない。

斎藤が論じているのは、相手を喜ばせ、面白い話や有意義な話を引き出す方法である。正直言って「そうまでして相手を喜ばせなきゃいけないのか?」と思ったりもするのだが、確かに気持ちよく話してもらったほうがいいに決まっているし、気持ちよく話してもらったほうが面白い話を引き出しやすいのは間違いない。ちょっとした気配りみたいなものなのだから、マナーとしてやるべきだと考えるほうが私にはしっくり来る。

斎藤孝がめざすのは、うまく質問してあげることで、モノローグからは得られない、新しい議論をインスパイアすることである。これがどこまで「技」や「型」として定式化できているかは疑問だが、しかし、いずれにせよ、その人の書いた本を読んだだけでは得られない情報が、優れた質問によって引き出されることがあるわけだし、そのような質問をする力を磨くべきだという議論には完全に説得されてしまった。私は対談などしたことはないし、これからもそんな機会はほとんどないだろうが、幸い尊敬する研究者と会って話をする機会は時々ある。そういうときに何を話したらいいのか、どんな質問をしたらいいのかよくわからなかったのだが、この本はそういう場合に役に立つ本だと思った。

最後に蛇足だが、斎藤孝の文体で面白いと思うのは、「すごい」を連発する点である。上記のダニエル・キースをはじめとして、谷川俊太郎など、いい質問をしている人たちを「すごい」「すごい」といってほめまくるのである。10回以上は書いているのではないか? あまりに連発するので軽薄な感じも受けるのだが、しかし、こういう姿勢は大事だろう。ダメな事例を批判しても恨まれるだけだし、よいお手本をたくさん示すほうが教育効果は高いに決まっている。

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