Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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『世界制作の方法』、あるいは根源的相対主義とヴァージョンの正しさ
ネルソン・グッドマン
筑摩書房
¥ 1,365
(2008-02-06)

われわれは複数の世界観、あるいはモノの見方を持っている。グッドマンはこれをヴァージョンと呼ぶ。例えば、量子力学とかニュートン力学とか、ドストエフスキーの世界とか、ゴッホ的世界といったものがヴァージョンということになる。ヴァージョンの外部に世界が実在しているのではなく、ヴァージョンの制作を通して世界もまた制作される。複数の競合するヴァージョンが同程度に「真理/真実」らしいということがありうるので、絶対的な「真理」を捜し求めることは無意味である。というよりもむしろ、ヴァージョンの外部に世界が存在すると考えない以上、素朴に「真理」を語ることは無意味だといったほうがいいかもしれない。

訳者の菅野盾樹は、巻末の解説で、この相対主義ばかりを強調するのであるが、私がむしろ興味を持ったのは、ヴァージョンの「正しさ」という問題である。グッドマンによれば、あらゆるヴァージョンが正しいのではなく、正しくないヴァージョンも存在する。問題は「正しさ」の基準である。グッドマンによれば正しさの基準は「真理」だけではない。「真理」だけを基準にすれば、同程度に「真理/真実」らしいヴァージョンがあり、それだけでは、ヴァージョンの優劣を十分に識別できない。そこで、「真理/真実」以外の「正しさ」の基準が持ち出されることになる。例えば、「美しさ」とか「有用性」とか「倫理性」といったものがその基準かもしれない。

私と菅野のあいだには問題関心にズレがある。私にとっては、世界の複数性はある程度前提にしていい議論で、むしろ複数のヴァージョンの中からどれを選び取るかが重要な問題である。しかし、菅野にとっては世界の複数性そのものが主張すべき重要なポイントとなっている。相対主義にもいろいろなヴァージョンがあるが、グッドマンのそれは、より正しいヴァージョンとそうでないヴァージョンを識別する用意がある点で、好感が持てる。

社会学者が抱える困難のひとつは、真理を放棄し、面白ければ「何でもあり」の相対主義に堕してしまっている点である。世界の複数性を認めながら、より良いヴァージョンを求めるべきだという点には多くの社会学者が同意していると思うのだが、問題はより良いヴァージョンとそうでないヴァージョンを識別する基準なのである。それがはっきりしないまま「面白さ」以外に語る言葉を持たない点こそ社会学の貧困といえよう。

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コメント
from: Kaminaga   2008/04/07 12:00 PM
太郎丸先生のWeblogを発見したのでコメントさせていただきました.数理社会学会でお世話になることになった東北学院大学の神永です.エントリの内容は十分理解できていないので内容に関するコメントはできませんが,ときどき覗きにきます.よろしく御願いします.
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