Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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Youth, family and citizenship
というのが次回(10月22日)購読予定の文献ですが、これをお読みいただく問題意識をお伝えするために、さいきんフリーター問題を含む「社会的排除」の研究会に亀山が誘われた際の、主催者へのメールから抜粋します。

・・・私自身は・・・若年者の就労問題についても、「シティズンシップ」概念から接近してみたいと考えております。・・・「権利と義務をともなう地位身分」であるシティズンシップは、福祉国家論の文脈で問題にされてきましたが、日本では(福祉国家の)「国民」という地位身分よりも、むしろ終身雇用制下の正社員という地位身分が、一定の社会的権利(福利厚生)を会社に対する義務と引き替えに付与してきたとしばしば指摘されてきました。しかし現在、「正社員」の地位身分が揺らいだ結果、その義務に対して権利が見合わないと感じられることが、若年者が「正社員」を忌避する一因ではないかという仮説をもっています。(「正社員は責任が重いから嫌だ」といった言説がフリーターへのインタビュー等において一般的であることが示すように)。もちろん、若年者への正規雇用の規模が縮小しているという事態が大前提ではありますが。
 また、「正規雇用が減っているとはいってもある程度の求人はあるのだが、若年者の希望と見合わない」という「ミスマッチ」論も定説のようになっており、そこから「職業体験等で若年者の仕事に対する意識を変えなければならない」といった教育論も出てきていると思われますが、私はミスマッチを問題にするのならば、「若年者を仕事にマッチさせる」と同時に、「仕事を若年者にマッチさせる」ことも主張されるべきだと考えます。・・・つい10年ほど前、日本における労働にかかわる大問題と考えられていたのは、「日本人の働き過ぎ」だったと記憶しています。低賃金・長時間労働のため、日本は生産コストが安く、貿易黒字をため込んでいる、と欧米からも批判されていました。「過労死」が問題になったのもそのころだったと思います。ところが、その後の長期の不況においては、ぎゃくに「日本の労働者、とくにホワイトカラーは生産性が低い」ということがしきりに言われるようになりました。「正社員」の労働時間はむしろ増えているという指摘もあるにもかかわらず、「働き過ぎ」どころか「働きが悪い」と言われるようになったわけです。こうしたことが、上記のような「正社員は責任が重いわりには・・・」といっ
た若年者の意識に関係しているように思います。ヨーロッパでの「社会的排除/包
摂」論の前提条件のひとつとして、継続的な労働時間短縮への取り組みがあるのではないかと思われます(オランダなどの例をみるにつけ)。・・・

 といったところなのですが、実際の調査としては、「正社員は責任が重いから嫌」「フリーターは気楽」という際のその中身を具体的につっこんで聞けたら、と考えています。「責任が重い」とは、「労働時間が長い」のか、「休暇がとりにくい」のか、「上下関係がきつい」のか。まあ、いずれも、なんでしょうが、どれが重視されているのか。また、例えば「労働時間が長い」というのが正社員忌避の理由としたら、では「週に何時間くらいなら働く気がするのか」「給与が高ければ長時間労働OKなのか」といったことを聞いてみる。こうしたことで、フリーターが皆一律に口にする(かのような)「責任が重いから嫌」というものの中身、多様性(あるとしたら)を明らかにできたら、上記「ミスマッチ」論ももう少し生産的なものになるのではないか、と考えています。
 とはいえまだ漠然としたものなので、授業やこのページで皆様の知恵をぜひ拝借したいところです。
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