Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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『大学という病』を読む、あるいは歴史社会学の戦略をめぐって

歴史社会学も質的データ分析の一種ということで授業の準備のために読んだ本。ストリートコーナーソサエティが退屈で読んでいて何度も眠ってしまったのに対して、こちらは夜更かしして一気に読んでしまった。私の現在の興味に近いし、他人ごとではないのでおもしろく読めた。本書は昭和初期の東大経済学部内の派閥争いと思想弾圧の顛末を描いている。具体的には、1928年の大森義太郎の辞職から1939年の河合栄治郎と土方成美の休職までが描かれる。政府の介入に東大は屈し、東大内のパワーポリティクスの中で、左右を問わず多くの経済学部教官が職を辞していくさまが微に入り細にわたって述べられている。著者は、これをもとにすでにこのころ大学は死んでいたのだ、と断ずる。質的データ分析の例として読んでみたのだが、グラフや表もふんだんに用いられており、量的データの分析にもなっている。歴史社会学=質的分析という考えは、短絡的過ぎたようである。

ディーテールは楽しめるのだが、話のオチはしっくりこなかった。歴史社会学の常套的な戦略は、人間の「本質」や「普遍」性と思われていたものが、意外に最近できたものであることを示したり、逆に非常に新しい現象だと思われていたものが、ずいぶん昔から存在することを示すことである。この本も、近年の大学改革によって「大学は死んだ」と言われたり、全共闘時代の大学紛争によって「大学は死んだ」といわれているが、実はもっと前に大学は死んでいたのだ、ということを示して見せていると思われる。しかし、逆にいえば、大学は死んでいないと思っている人や大学なんて昔からずっと死んでたと思っている人にはあまりインパクトはないだろう。おそらく全共闘を経験した世代に一番インパクトがあるのではないだろうか。私は今も昔も大学は生きていると思っているので、「昭和初期の時点ですでに死んでいたのだ!」といわれてもピンとこなかった。つまり、大学の「自治」とか教授の「権威」といったものがなければ、大学は「死ぬ」という前提で議論がなされているため、ぜんぜん馴染めないのである。

もう一つ気になるのは、やはり代表性の問題である。東大の経済学部で著者が論じるような紛争があったのは事実であろうが、他の学部や大学ではどうだったのか、という問題は残る。東大も東大経済学部も特殊なケースであるという見方も可能であろう。著者が触れているように京大でも滝川事件が起きており、当時、大学人事への文部省の介入があったのは確かである。しかし、どの程度頻繁なのか、とか、それが大学の自主規制などにつながったのかなどがわからなければ、「大学は死んでいた」とは言い難かろう。竹内氏のその他の著書でもそうだが、大きな結論はいまいちで、むしろディーテールがおもしろいのである。そのようなディーテールの「おもしろさ」に私たちはどのような学問的価値を見出すべきなのであろうか?(あるいは見出すべきでないのだろうか?)

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