Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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結婚タイミングの理論: ジョブ・サーチ論の配偶者探しへの応用

Valerie Kincade Oppenheimer, 1988, "A Theory of Marriage Timing," American Journal of Sociology, Vol.94 No.3, pp.563-591.
ジョブ・サーチ論を結婚に応用することで、晩婚化の原因を論じた論文。職探しの理論を配偶者探しに転用しようというわけである。ジョブ・サーチ論は合理的選択理論の一種である。求職者は、仕事が見つかったときにそこに就職するかどうかを決めなければならないが、そこに就職することでえられるベネフィットと、仕事探しを継続するコストと期待されるベネフィットを比較考量し、期待利得の高いほうを選択すると考える。求人が少なければ、留保賃金以上の仕事が見つかった時点ですぐに就職を決めるだろうし、求人が潤沢にあれば、賃金などの労働条件の分布を考慮して、ベストと思われる仕事をじっくり選ぶだろう。似たようなプロセスが配偶者探しの場合にも言えるだろうというわけである。著者によれば、配偶者探しの場合、仕事探しと違って、情報の確実性が加齢とともに増す傾向がある。例えば、20歳の男性の生涯賃金やその後のライフスタイルははっきりとはわからないが、30歳になればかなり見通しが立ちやすい。女性の場合も、20歳の時点で一生フルタイムで仕事を継続するかどうかといったその後のライフスタイルが明確に決まっている人はそれほどいないだろう。それゆえ、現代社会では若いうちに配偶者を決めてしまうのは合理的ではないというわけである。平均初婚年齢の上昇は、このような若年期の不確実性の増大に(少なくとも部分的には)起因するというのが著者の主張である。

 もしもこの理論が正しければ、性別分業が強力で女性が家内労働に特化しているような社会では、女性の平均初婚年齢は低くなるはずである。このような社会で女性に望まれるのは、家事や育児の能力であり、そのような能力は比較的若いうちに明らかになるからである。同様に世襲制が強い社会では、男性の初婚年齢は下がるだろう。生まれたときから、どのような仕事に就くかは大体決まっているのだから。逆に男女が同じように働き、性別職域分離や賃金の差別がない社会では、男女の平均初婚年齢の差は非常に小さくなるはずである。また、トレーニング期間の長い仕事についている男性は初婚年齢が上がるはずである。例えば大学の先生のように。あるいは、近年、経済的な不安定性が増した人々、例えば高卒の男性の平均初婚年齢は、大卒のそれ以上のペースで上がっているはずである。

 この議論は、Becker の new home economics 批判として書かれている。つまり、女性の人的資本が高まり、市場労働に従事する女性が増えると、このような女性にとって結婚の魅力は相対的に低くなるので、未婚率や離婚率が上がるという Becker の議論は間違っているかもしれないと著者は言う。結婚の魅力に変化はなくても、上記のようなメカニズムで初婚年齢の上昇は説明できるからである。

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