Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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アイスランドの少年の相対的はく奪: a multilevel test

Jon Gunnar Bernburg, Thorolfur Thorlindsson and Inga Dora Sigfusdottir, 2009, "Relative Deprivation and Adolescent Outcomes in Iceland: A Multilevel Test," Social Forces, Vol.87 No.3, pp.1223-1250.
アイスランドの15,16歳の全国サンプルを使って相対的はく奪理論をテストした論文。相対的はく奪理論では、人々は自分の状況と準拠集団の状況を比較して、自分のほうが状態が悪ければはく奪感を感じると考えられている。もしもこれが正しければ、基本的には自分の状況がよいほどはく奪を感じにくいはずである。しかし、準拠集団の状況がよい場合のほうが悪い場合よりもはく奪感を感じやすいはずである。サンプルは、まず学校を129えらび(これでアイスランドのハイスクールの96%をカバーしているというからやはり小さな国である)、各学校から21〜286の15〜16歳の子供を選んで調査している。いく人かのサンプルから落として5491人のサンプルとなっている。はく奪の程度は、以下の質問に対して5段階で答えるリッカート尺度を足し合わせたものである。
  1. あなたの親の経済状態は悪い。
  2. あなたの親は車を持つことができない。
  3. あなたの親は、食べ物、家、電話などの生活必需品を賄うことがほとんどできない。
  4. あなたの親は、スポーツや音楽のようなあなたが一番したいタイプの余暇活動をするお金を持っていない。
被説明変数は、「怒り」、「無規範度 (normlessness) 」、「非行」、「暴力」の4つである。はく奪度が関連する変数の効果をコントロールしても、これら4つの被説明変数に有意な効果を持つかどうかが問題となるが、相対的はく奪がテーマなので少しややこしい結果が期待されている。すなわち、 個人をレベル1、学校をレベル2に設定したマルチレベルモデルが用いられるのだが、学校 j の個人 i の「怒り」の程度を Yij 、学校 j の生徒のはく奪度の平均値を Zj 、学校 j の生徒 i のはく奪度を Xij(著者はサンプル全体の平均が0になるようにセンタリングしているが話がややこしいので学校 j の平均でセンタリングしてあるとする。本質的には同じインプリケーションが得られるはず)とすると、
Yij = &beta0j + &beta1jXij + rij
&beta0j = &gamma00 + &gamma01 Zj + u0j
&beta1j = &gamma10 + &gamma11 Zj + u1j
が基本モデルとなる。ただしコントロール変数は省略してある。これらを一本の式で表すと、
Yij = (&gamma00 + &gamma01 Zj + u0j) + (&gamma10 + &gamma11 Zj + u1j) Xij + rij
著者らは、仮説が正しければ、&gamma01と &gamma10が正で、&gamma11負の効果を持つはずであるという。これにかなり混乱させられてしまった。 &gamma10 は、Xijの主効果であるから、仮説が正しければ当然プラスのはずである。すなわち、個人が準拠集団である同じ学校の生徒たちよりもはく奪されていれば、怒りを感じると予測される。&gamma01 は同じ学校に通う生徒の平均的なはく奪度 Zj の主効果であるが、これもプラスと予測されている。なぜならば、同じ学校の平均が上がれば、個人 i の絶対的なレベルでのはく奪度も上がるから。 すなわち、Xij が一定ならば、 Zj が上がるほど、個人 i の絶対的なはく奪度の水準( Zj + Xij )は高まる。ここまではわかるのだが、著者らによれば、Xij と Zj の交互作用効果 &gamma11 がマイナスになるという。著者らはこれを相対的はく奪の証拠だというのだが、学校全体のはく奪度からの偏差は前述の通り &gamma10 で表現されるはずである。この場合の交互作用効果 &gamma11 がマイナスならば(そして実際にマイナスなのだが)、相対的はく奪感は、平均的なはく奪度が弱い(この例の場合は経済的はく奪度なので、経済的に豊かな)準拠集団で強く作用し、準拠集団全体のはく奪度が強まると、個人の相対的なはく奪度は、あまり「怒り」や「非行」などには影響を持たなくなると予測される。なぜこのような結果になるのか私にはよくわからない。著者らはモデルの解釈を誤っているようなので、この点について適切な解釈を提供してくれない。マルクスが言うように、持たざる者は、自らの状況を客観的に把握できるということであろうか。あるいは、はく奪度の尺度に上限と下限があり、分布が偏っていることに原因があるのかもしれないが、よくはわからない。とにかく、このようなモデルを立てて、関連する変数をコントロールして、マルチレベルモデルで推定すると、著者たちが(誤って)期待した通りの効果が、4つの被説明変数すべてに関して得られている。

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