Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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圧縮された近代としての韓国福祉制度

Sung-Won Kim, 2009, "Social Changes and Welfare Reform in South Korea: In the Context of the Late-coming Welfare State," International Journal of Japanese Sociology, Vol.18 No.1, pp.16-32.
韓国の福祉制度発達の特徴を論じた論文。Kim Sung-Won によれば、韓国が本格的に福祉制度を発達させたのは、1998年の金大中政権成立以降である。これは西欧の福祉国家が20世紀の前半からオイルショックあたりまでかけてゆっくりと発達してきたのと比べると、その出発時期が著しく遅く、それゆえ、欧米の福祉国家発達とは著しく文脈が異なる。西欧諸国では、第2次世界大戦後からオイルショックあたりまでを福祉国家の黄金時代というそうだが、これは福祉国家を順調な経済成長が支えることができた時代ということであろう。この黄金時代はオイルショック以降の低成長期に入って終わりを告げる。オイルショック以降の西欧は、市場原理の部分的導入を含めた福祉国家の再構築の時代に入るという。韓国の場合はすでに低成長時代に入った段階ではじめて本格的な福祉制度を発達させたので、このような黄金時代は経験しようがないと Kim Sung-Won はいう。さらに西欧での再構築も、韓国では福祉制度の導入とほぼ同時に取り入れることになり、福祉制度の構築と再構築が同時に行われることになっているという。

後発近代化国家では、こうした近代化のプロセスを、欧米に比べて短い期間に急速なスピードで体験することがある。日韓台における少子化と高齢化が典型的な例だが、この福祉国家の話もその一例であろう。compressed modernity とかいう人もいるらしい。勉強にはなったが、このような compressed modernity の例を一つ増やしただけで議論が終わってしまっている点は、いささか物足りない。このような急速な福祉制度の発展が、韓国の福祉政策にどのような影響を及ぼしているのか、その光と影を指摘するところまで進んでほしかった。

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