Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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ネットワーク構造の凝集性と埋め込み:社会集団の階層的概念

James Moody and Douglas R. White, 2003, "Structural Cohesion and Embeddedness: A Hierarchical Concept of Social Groups," American Sociological Review, Vol.68 No.1, pp.103-127.
ネットワークの凝集性を示す新たな指標を提案した論文。ある(グラフ理論的な意味での)グラフにおいて、すべてのノードがパスでつながれている場合、そのグラフは接続されている (connected) という。しかし、特定のノードを取り除くと、グラフは複数に分割され、接続は失われてしまうことがある。たとえば、コンピュータネットワークでアクセスの集中するハブが1つでも故障すると、到達できないノード(この場合はサーバや個々の端末)が大量に発生することがある。しかし、ノード間にまったく異なる複数のパスが存在すれば、1つのノードが取り除かれても、別のパスを通ってネットワークの接続は保たれる。この種の議論は、コンピュータ・ネットワークの構造を論じる場合、よく言われていることである。そこで、上記のような、グラフ内の任意のノード間に存在するまったく異なるパスの数が多いほど、そのグラフは凝集性が高いと、Moody and White は定義する。具体的には、ノード間に存在する異なるパスの数は、ノードの組み合わせによって異なるから、その最低値をそのグラフの凝集性と呼び、k-connected という。例えば、あるグラフの中のノード間に、最低 4つのまったく異なるパスが存在すれば、そのグラフは、4-connected といい、その場合は、任意の 3つのノードを取り除いても、グラフの接続は保たれる(狙って特定の4つを取り除けば、接続は失われる)。

部分グラフ(subgraph) についても凝集性を計算することが可能であり、凝集性の高い部分グラフに属しているほど、ネットワークに包み込まれている (nested) という。これ(所属する部分グラフの凝集性の最大値)が、そのノードのネットワークに埋め込まれている (embedded) 程度の指標になるという。このような定義を、既存の定義と比較したりしながら、説明した後、実際の経験的なネットワーク分析の例を2つあげ、既存のネットワーク中心性よりも、nestedness のほうが、生徒の学校への愛着などに強い影響力があることを示している。

私自身が今扱っているデータは、valued graph (単に関係があるかないかではなく、関係の強さが数値化されているグラフ)なので、この手法は使えない(valued graph に拡張して考えることはできるかもしれないが、自前でそのためのプログラムまで書くのは時間がかかりすぎて現実的ではなかろう)。そう思うと急速に集中力が失われて読み続けることができなくなってしまった。そういうわけで、多少不正確な点があるかもしれません。

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