Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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社会資本と職業を見つけること:仲介は重要か?
Social Capital and Finding a Job : Do Contacts Matter?
Ted Mouw
American Sociological Review,2003.Vol.68(Dec.868-898)

2004/Nov.22
報告者 保寿宣子

社会資本は、労働市場の成果に作用するか?よい職業を得るには、「誰を知っているか」が重要であると言われている。社会資本におけるネットワーク理論が言うのは、よく結びついている労働者たちは、彼らの社会的紐帯を通して職業に関する情報と影響を与え合い利益を得る、というものである。多くの研究が、社会資本の性質と報酬さらには仕事への威信との明白な関係を発見しているが、労働市場の成果における社会的ネットワークの因果関係については殆ど知られていない。4つのデータセットを用いて労働市場での社会資本の役割の発見を再評価する。因果関係のテストが提案されるのは、次の主張を前提にする場合である。もし社会資本の変数が職業の成果に対して因果関係のある結果を持つならば、社会資本を高い水準で持つ労働者は、他の要素と同じく仕事を見つけるために仲介を使うであろう。結果として、既存の論文に見られる社会資本の効果のほとんどは、労働市場の成果について友人の性質という因果関係のある結果よりも、似た人間同士が友人になるという傾向を反映している。

諸個人のコネクションや紐帯は、無視していいのか、それとも重要なものなのか。今までの研究では両方の主張が出されている。「社会資本」モデルでは、コネクションを使うか使わないかではなく、よいコネクションがどういうものか、それによって手に入る社会的資源の質と量が重要視される。ここで論者は、職業仲介(job contacts)と社会資本の役割についての経験的な証拠を提示しようとする。友人関係の作為的な獲得が意味するのは、労働市場の社会資本の研究の結果から推察される因果関係を注意深く扱わなければならない、ということである。社会資本の変数と労働市場の成果の間にあるポジティブなつながりが、因果関係を持つかどうか、作為的な友情の作る偽者の効果なのかを、明らかにしようとする。特定の社会資本の変数が職業の機会に対して因果関係を持つかどうかを調べるには、これらの変数が仕事を見つけるために仲介を使う確率を増やすかどうかを調べることになる。

・Literature Review
既存研究を三つのカテゴリ(仲介の使用の直接的効果、singlefirm studies、社会資本モデル)に分類して検証する。

直接的効果―幾つかの研究で賃金に対しての効果が見られたが、それも怪しい。
single-firm studies―構造の内部ではコネを持つことは有利に働く。コネを持つことは重要だが、よい職業と収入の不平等さの全体の配分に効果があるわけではない。

Sequential search model(Montgomery1992)
よいコネクションを持つことの労働市場での成果への影響を見るためには、仲介を使うことと賃金との直接的な関係を見るのではなく、労働市場の成果と社会的ネットワークの構成と仕組みの間の関係を見なければならない。

社会資本モデル―社会資本に注目することは、仕事を探している人のもつ社会的ネットワークの性質に注目することである。社会的ネットワーク資源は、職業威信・収入・賃金などの労働社会の成果とポジティブに相互関係を持っている。職業について結ばれた社会的紐帯の数は、付き合いを持った雇用者の数と同じで、応答者の失業期間の長さに対して直接的に効果を持っている。

・Social homophily and Causality
よくつながり合った社会的ネットワークを持つ人は、労働市場でも上手くやっていく。しかし、これは似たような人間同士が友達になるという傾向から導かれる結果ではないのか。
友情の形成過程と社会的ネットワークの選択性の程度−もしくは明らかでない能力ではなく社会資本と相互に関係している

有効な変数−についての推測なしに、労働市場の成果に対しての社会資本の本当の効果を見積もることは難しい。友人の選択と友人の影響の間を分けることにおいてのhomophilyから生じる問題は、仲間効果の研究で長く意識されてきた。

社会的homophilyから導かれる選択バイアスの問題のために、社会資本モデルの結果の解釈は注意を必要とする。論者は労働市場にける社会資本の因果関係についての間接的なテストを試み、「ネットワーク社会資本」によって、他人との紐帯と繋がりのなかに社会資本が存在することを示そうとする。
もし、よいコネクションを持つことが本当に有益であるならば、よくつながり合った個人は、よくつながり合っていない他の個人よりも、その繋がりを通して彼らの職業を手に入れようとするはずである。反対に、因果関係よりもhomophilyを反映する教育や職業威信のようなネットワーク社会資本が頻繁に使われれば、「よくつながりあっていること」で職を得ているとはいえない。

命題1:賃金に対して因果関係を持つネットワーク社会資本にとって、必要ではあるが十分ではない条件は、社会資本変数(a)が賃金に対して、(b)が繋がりを通して職を得る確率に対して、ポジティブな効果を持つことである。

連続調査モデル(the sequential search model)
労働者は続けざまに求人申し出を受け取り、他の仕事を受け取る前に、受けるかやめるかを決めなければならない。「予約賃金(reservation wage)」よりも賃金の申し出が高ければ、労働者は承諾して、収入を最大化する。
拡張調査モデル(the extensive seach model)
労働者は職を問い合わせ、申し出が来るのを待つ。全ての申し出を受け取ってから、一番高い賃金のところを選択する。

諸個人は、職業調査にあたって二つの方法(formal search, informal search)を使う。
また二つの要素(一つの申し出を受ける確率、申し出に対しての賃金配分)が中心にある。

三つの要素(明らかな人的資源、ネットワークの社会資本、「偽者の」社会資本)の区別が重要である。

命題1a:Psc, μsc, 擬似のPsc,もしくは擬似のμscが増加すると、賃金の増加が見込まれる。

命題1b:Psc,もしくはμscが増加すると、職を見つけるために仲介を使う確率が増加する。対称的に、擬似のPsc,もしくは擬似のμscが増加すると、職を得るために仲介を使う確率は不確かな効果(一般的には小さな効果)を持つことになる。

・Theories and Empirical test図1のフローチャートに即して、A〜Oまでの論点について検証する。

A)職業仲介を使うことは、社会資本のレベルに対して内在的であるか?
上に見てきたような職探しモデルの直観を受け入れるかどうか。もし労働者が「予約賃金」を置くこともしくは最もよい申し出を選ぶことによって、賃金や収入を最大化しようとするならば、命題1は仲介によって職を得る確率は労働市場の社会資本における労働者のレベルに依存することになる、結果として、仲介は社会資本のレベルに対して内在的になる。

B)職業仲介を使うことは、社会資本のレベルに対して外在的である。だから職業成果における仲介の効果の直接的なテストが必要である。

C)職業仲介を使うことの効果は、仲介する人の性質に依存するか?
職業仲介を使うことはいつでも有益であるか。ステータスの高い仲介人の場合、よい仕事を得られる。仲介の利点は、仲介人の社会的地位に左右される。

D)仲介を使うことは、一般的に有益である。
仲介の一番の利点は、効果よりも職についての開かれた情報にある。情報はそれを与えてくれる人の性質とは関係なく役に立つものである。

E)仲介の効果についての横断的分析(表2,3)
賃金・失業期間・職業への満足感に対しての仲介の効果の分析
表2→仲介の使用が労働市場の成果に対して影響を与える証拠はない。
表3→仲介の使用は、失業期間の長さに対しては影響を与える。
仲介を使うと、早く職を見つけたり、よりよい支払いの職を得る助けにはならない。

F)低賃金の職がインフォーマルな方法を経由した雇用で行われる傾向のために、労働市場の成果における仲介の効果は下向きのバイアスをかけられてしまうのか?
人的資本を明らかにすることによって十分にコントロールされていないブルーカラーや低賃金の職業の側面があるならば、職業仲介の使用の本当の効果は、バイアスによって下向きにされてしまう。

G)仲介の効果についての長期的な分析(表4)
同じ人間の場合、仲介を使った方が使わない時よりも良い結果になるのか?
積極的な調査をしないで職を見つける労働者は、友人や知人との社会的な相互行為によって見つける。これが本当ならば、仲介は重要である。一方で、熱心に探さない労働者は、現在の職業に満足しているからという説明もある。よりよいつながりを持つ労働者は、探さなくてもよりよい職業を見つけ、高い賃金を得ることができるのだろうか?

H)ステータスの高い仲介人は有益であるが、低い仲介人はそうではない。
本質的には、仲介を使うことは有益であるとはいえないが、ステータスの高い仲介人の場合、望ましい職業を提供してくれる。

I)外在的な社会資本モデル(表5)
仲介人のステータスは、応答者の労働市場の成果に影響を与えるか?
仲介者と応答者の間に流れる同じ職業上の情報の影響は、社会的資源の視点において人工物である。ステータスの高い仲介人を使う応答者は、同じ職業の仲介人を持つ応答者よりも威信の高い職業に就くということはない。
仲介人の高いステータスの効果はあるにしても、その効果が因果を持つか、社会的なhomophilyの結果の選択によるものかはわからない。

J)結果として、仲介を使うことと賃金の間の直接的な関係は不確かである。
もしも仕事を得るために仲介を使うことが社会資本の水準において内在的であることを受け入れるならば、仲介を使うことと賃金の水準の直接的な関係は間違ったものとなる。調査理論モデルによって社会資本と労働市場の成果の関係を説明することになる。

K)社会資本と調査理論モデルの係わり合い
社会資本の水準が高いほど、よい賃金・短い職探しになる。
仲介を使うことと、もしも諸個人が悪い職業の申し出を拒否することによって彼らのかせぎを最大化するならば、職業仲介の本当の効果を覆い隠す賃金の関係を見る。その代わりに、労働市場の成果における社会的ネットワークの性質のもつ効果を見る必要がある。

L)内在的な社会資本モデル(表6,8)
社会的なネットワーク資源は、労働市場の成果に影響を与えるか?
以前の職業を仲介を使うことによって得た割合は、賃金とネガティブな関係を持つ。同じ職業にある友人の割合は、ネットワークを持つ人間の失業や福祉のステータスと同様に、賃金に対して効果はない。幾つかの社会資本の変数は、労働市場の成果に対して相互関係にある。

M)homophilyの問題
応答者の賃金と友人の性質との間の明らかな関係は、因果関係にはない。反対の因果関係と明らかでない変数の影響する選択を反映する。
ネットワークの構成員の教育の平均値は、応答者の賃金にポジティブな効果を持つように思われる。それはネットワークの社会資本の因果的な効果というよりも逆の因果関係や選択による効果の反映であると思われる(表6モデル3、表8モデル3)。

N)因果関係のテスト(表7,8)
もし社会資本が賃金に対して原因となる効果を持つならば、高い水準の社会資本を持つ諸個人は他のものと同じように仲介をより用いるだろう。
以前の職業を仲介を使うことで見つけた場合、仕事を見つけるために仲介を使うことが多い。職業を見つけることについて個人に特定の何かがある。また、仲介を使うことは応答者の3-digit occupationにおける職業の割合によって影響される。
ネットワークの社会資本は、職業ネットワークを通して得られる情報や影響に直接には伝達されない非ネットワークの社会資本のポジティブな効果を上げる。
教育の平均値、雇用水準、社会的ネットワークの構成員の職業上のステータスなどの社会資本は、労働市場の成果に因果的な効果を持たない。持ったとしても、仲介ネットワークの情報や影響を経由しない。

O)ネットワークデータを持つ外在的社会資本モデル(表6,8)
もし仲介が外在的であるという理由でもってNにおける因果関係のテストを否定するならば、社会資本の変数の因果的な効果はただ職を見つけるために仲介が使われた時にだけ働くことになる。仲介の使用による社会資本の相互効果を使うことをテストする。


・Discussion and Conclusion
職を探している人の職業仲介の使用が社会資本の水準に依存しない「直接効果」モデルと「外在的社会資本」モデルは、不十分なものだった(表2〜5)。
内部に仲介者を持つ応募者が外部に持つ者よりも採用されやすいとするsingle-firmに関する最近の研究は刺激的ではあるが、社会全体に当てはめる前に仲介を使うことが個別の労働者を代表するサンプルに対して及ぼす影響を明らかにしなければならない。仲介の利点は、賃金の違いを分析することではわからない。なぜならば、よくつながりあった労働者は彼らの「予約賃金」を上昇させ、そのために受け入れられた職業の申し出の賃金というのは全て高額であり、仲介を経由して見つけられたかどうかは気にされない。
調査モデルの鍵となる視線は、よりよくつながり合う労働者が仕事を見つけるために仲介を使う、ということである。職探しの間に、仲介によって情報や影響が供給され、繋がりを持った労働者は、持たない者よりもよりよい申し出を受け取ることができるからである。社会資本の大きさは賃金に対して効果を持つが、それらは仲介を使う確率に対しての効果と同じものではない。賃金との関係性は擬似的なものか、ネットワークを通して伝達されない社会資本の形をとる。
命題1は必要ではあるが十分な因果関係の条件を持たない。仲介を使う確率と賃金への因果的な効果の間の関係は職探しモデルのパラメーターに依存する。
教育やネットワークの構成員の雇用ステータスといった従来の社会資本の変数は、賃金に対して因果的な効果を持たなかった。
社会的ネットワークによって伝達される情報や影響の作る実際のメカニズムに焦点を当てる必要がある。

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