Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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Davis-Mooreの階層理論:社会的に構築された古典のライフコース
Robert C. Hauhart, 2003,
“The Davis-Moore Theory of Stratification: The Life Course of a Socially Constructed Classic”,
The American Sociologist, 34(4): 5-24.

2004/11/29
報告 長松奈美江


はじめに

Davis and Moore, 1945, “Some Principles of Stratification”, ASR:
社会的不平等の普遍的必要性を説明する階層の機能理論
1953年のTumin論文〜1970年代:論争→1980年代後半は終結

この論文の目的=論争の歴史を追い、この論文が長年注目されてきたこと(longevity and vitality)を説明

略伝(A Biographical Sketch)

○Kingsley Davis(1908-1997):P. SorokinとT. Parsonsによる指導
○Wilbert E. Moore(1914-1987):T. Parsonsによる指導
※ Davisのほうが、Parsonsにより近い知的あるいは大学組織上のつながりを持つ

1945年論文のとき:両者ともPrinceton University

歴史的文脈における"Some Principles"論争(The "Some Principles" Debate in Historical Context)

1953年のTumin論文→論争
○オリジナル論文への広い注目と、published responsesを招く
○30以上の論文とコメント(3分の2近くがASRかAJS)
○海外の論者からの反応

論争する価値のあるものという認識
アメリカの基礎的な社会学のテキストやシラバスで取り上げられる
…批判のコメントの大部分がネガティブだということを加味すると、印象的

⇒ なぜこの論文が広く普及し、論争を巻き起こし、社会学のなかで深く定着したのか?

社会学の古典を定義する(Defining a Sociological Classic)

Davis-Moore thesisが階層の"classic statement"、もしくは"influential" theoryという同意の存在、階層理論の内部におけるspecial nicheを得る
<背景>
1960年代の社会学の危機
構造‐機能主義と批判的社会理論への分極化、多中心主義的polycentricな構造
※ 社会学における3つのパラダイム
=構造‐機能主義、闘争理論、シンボリック相互作用論

Davis-Moore理論 ⇒ 機能理論の典型(a positive exemplar)
:negative classicとして定義されずに、社会学理論内部において公認された地位を維持

<"Some Principles" の再考("Some Principles" Revisited)>
Davis-Moore論文:機能主義の第一人者であるParsonsに続くもの

ParsonsとDavisによる社会理論における階層の根本的な重要性
⇒ 階層システムを基礎付けるachievementは、solidarityを促進する社会の他のシステム内部にどのように適合するか?

○ 階層の普遍的必要性の説明
階層=motivational sheme
… 地位に社会の成員を分配し、彼らにその地位に結びつく必要な任務を遂行するように説得するために、機能的に必要(functionally necessary)である

批判的反応(Some Principles: The Critical Response)

Tumin(1953)の批判:最初で最も有名
希少な資源の不平等分配が不可欠であり、機能的にpositiveであるということを批判

応答の交換(An Exchange of Replies)

Davis-Moore-Tumin exchange … 高度に抽象的、分析的、経験的ではない

<The 1950s>
Simpson, Buckley, Wrong, Davis, Levyなど
特に、WrongのDavis-Moore理論の位置づけ:現状を弁護し、正当化するもの

Davis-Moore論争:機能主義者を、マルクス主義的な闘争的・批判的な学派の支持者に対峙させる理論的な分岐
+ 世代的な分離(若い社会学者における機能主義への魅力の低下)

<The 1960s>
コメントの増加+経験的テスト
□Huaco、Wesolowskiなど:理論的
□Stinchcombe、Lopreato and Lewis、Harris:Lopreato and Lewisなど:経験的

2つの分岐
 /靴靴っ蠑歸分析と批判
◆〃亳嚇テスト
… これらの間に意味のあるつながりはほとんどない

<The 1970s>
いくつかの論文は議論を広げ、さまざまな経験的評価を適用
Bershady(1970)、Land(パス解析の使用)、Collins(教育資格についての分析)、Abrahamson(1973)(二つの経験的テスト)、Kemper(1976)、Grandjean and Bean(1975)、Broom and Cushing(アメリカ企業の役員報酬の分析)

<The 1980s>
Davis-Moore理論への関心の減少
Milner(1987):不平等を説明するさまざまな理論をまとめる

<The 1990s>
Milner以来、Davis-Moore理論を発展させるものはない

学問領域におけるコンセンサス(The Discipline's Consensus)

<The Theory>
Davis-Moore理論:一般的に、理論としては不十分なものとみなされている
:概念的な曖昧性、術語の不適切性、非歴史性、不確かな想定、文化的な限界、これらの問題に依存した因果説明

<The Empirical Assessment>
経験的な検証 … 彼らの理論のさまざまな評価
□Lopreato and Lewis、Harris、Collins、Broom and Cushing …不支持
□Land、Abrahamson …支持

<Introductory Textbooks>
◆ 1950年代 … 議論はあまりない
◆ 1960年代 … 保留つきであっても評価はrespectfulでpositive
◆ 1970年代 … 批判的で論争的
◆ 1980年代 … 機能主義的見解のclassic statementとしての評価
◆ 1990年代 … 同様のアプローチ

■ 結論(Conclusion)

この論争:社会学において著名なもの。しかし、その遺産は疑わしい価値しか持たないし、科学の進展に対してほとんど何ももたらさない

○ 社会学の教科書 … Davis-Moore理論を影響力のある古典的な定式化として位置づける ⇔ オリジナルの理論の内容やメリットについての議論はわずか
○ 専門的領域 … 専門的なアメリカ社会学において、都合のよい歴史的注釈

Davis-Moore理論のおもしろさとは?
1950〜70年代の社会学において、社会的不平等という事実に関するうんざりする厄介な問いを呼び出したこと
オルタナティブな理論のなさ ⇒ Davis-Moore理論がなかなか消えない理由
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