Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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ベイズ統計を使ったマルチレベル・モデル・データ解析

ベイズ統計を使ったマルチレベル分析の解説書というべきだろう。ただしベイズ統計については読者は知っているという前提で書かれているようで、あまりよく知らない私には、理解できない部分も多かった。全般に入門者や応用家にわかりやすく書こうという意思が感じられず、いったいどんな読者を想定しているのか理解に苦しむ(統計学者向けの本になのだろうか)。ただし、ソフトウェアは BUGS と R を使っており、 BUGS でのスクリプト例も豊富である。BUGS でマルチレベル分析をやってみたい人にはいい本かもしれない。 BUGS / ベイズ統計の場合だと、完全な多重共線性があっても推定が可能だし(事前分布を仮定する関係らしい)、マルチレベル・モデルにおけるグループの数が少なくても(4グループで推定した例があった)、比較的正確な推定ができ、ランダム効果もたくさんモデルに投入できるらしい(4つか5つぐらい推定した例が載っていた)。

BUGS は R の lmer 関数に比べると計算速度が遅いが、様々なモデルを柔軟に設定できるというメリットがあるそうである。R に R2WinBUGS というパッケージをインストールすれば、 R から呼び出して実行できる。スクリプトの文法は R と似ている感じなので、 R でプログラミングできればそれほど敷居は高くない感じがしたが、事前分布の指定などは必要なのでベイズ統計をある程度知っている必要がある。

マルチレベル・モデルは、推定しているパラメータの数とか自由度がはっきりしない分析法なので、通常の有意性検定をやりにくい場合がしばしばある。それゆえパラメータを推定した後に、モデルをもとにシミュレーションを行うことで、モデルのあてはまりの良さや有意性検定を行うことが一つの重要な選択肢となる。ジャックナイフとかブートストラップとか言われる方法もそういったシミュレーションの一種である。 Gelman and Hill はこういったシミュレーションによるモデルのチェックの重要性を強調しており、スクリプトを含めた実例も豊富である(が、初学者にはたぶん意味不明だろう)。また、散布図などのグラフを使ったデータやパラメータ推定値の視覚化の重要性も強調しており、これも実例がふんだんにある。シミュレーションも結果の視覚化も SPSS では絶望的なので、 R を使う意義は大きいだろう。また、因果推論をする際の問題とテクニック(操作変数や傾向スコアなど)、欠損値の扱いなどについてもマルチレベルモデルとの関係で論じてあり、この種の問題について知りたい人には役に立つかもしれない。

基本的にマルチレベル・モデルは GLM の一般化であるというスタンスで書かれていて、その点は共感できた。それゆえ、マルチレベル・モデルにまつわると信じられているテクニックや問題の多くはすでに GLM でも生じており、GLM をきちんと勉強しておくことが大事だと再確認した。

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