Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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『リトル・サイエンス、ビッグ・サイエンス』

Scientmetrics の初期の代表作の一つ。論文の数は指数関数的に増加しているが、その一方で参照される回数で学術雑誌を並べて参照回数の分布をみると、パレート分布(密度関数)に近似するという。つまりごく一部の雑誌だけが参照されており、その他の大多数の雑誌は参照されない。同じように、執筆論文数の順で研究者を並べて執筆論文数の分布をみると、大多数の研究者はほとんど論文を書いていおらず、ごく一部の研究者だけがたくさんの論文を書いているという傾向が見られる。こういったパターンは科学に限らずいろいろな業界に見られそうであるが、後者のパレート分布への近似はプライスの法則と呼ばれることもある。書名のビッグ・サイエンスとは、巨大な実験機器と巨大な研究・技術者の組織を必要とするような科学のことで、リトル・サイエンスとはごく少数の科学者と小規模の実験機器だけで可能な科学のことである。プライスは、上記のような論文数の増大を、ビッグ・サイエンスの拡大と結び付けて考えているのだが、そのような証拠が示されているわけではない。

また、本書は invisible college とか、 research front といったマートン派の科学社会学では有名な概念を生み出した本でもあり(本当にこれが最初かどうかは未確認)、この分野では古典的な著作といってもいいのではないだろうか。 ただ、私としては、プライスがいろいろな変数の分布に偏執的と言いたくなるほど強いこだわりを示すことに閉口させられた。物理学ってそういう世界なのだろうか(プライスは物理学から出発してその後、科学史に転身した。天体観測や時計の発展に関する研究が訳者のあとがきで言及してあった)。確かに帰納法的に考えて、様々な変数の分布に共通性があるということは興味深い事実ではあるのだが、私はそこまでこだわれないので、読んでて退屈であった。

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