Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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イギリス社会学における女と男の経歴
理論社会学演習   報告:藤田智博 6 Dec 2004

Jennifer Platt, “Women’s and men’s careers in British sociology”
ジェニファー・プラット、「イギリス社会学における女と男の経歴」

<はじめに>p187-189
 学究生活における女性の地位に関する論文は多い。それらのほとんどは、研究職女性の割合がその分野での女子学生の割合ほどには高くないこと、また女性の割合は学者の身分が上がるにしたがって減少すること、を議論の出発点にしている。が、それらのデータは時代遅れなだけでなく、一時点のみを扱っている。
あるいは、女性の職経験を自伝的な素材などから調査したものもあり、それらは、かなりの成功を手にした女性ですら不利や差別を感じていたことを明かしている。が、そこで報告された事例は代表性があるサンプルとはいえず、また、男性側の経験が報告されてはいない。さらに、個人的な経験と経歴の関係に対して注意が払われていない。
 したがって本論考は、歴史的な枠組み、及び(職歴に影響すると思われる)個人的な諸事情という観点から、第二次世界大戦以来のイギリス社会学における男女の経歴を比較し、それらの相違(あるいは相似)を理解しようというものである。
 戦後、一般的に大学が拡大し、50年代には、社会科学も拡大した。社会学において、それ以前の学卒者もポストも大変少なかったため、とりわけ上級のポストにおいて、候補者不足は著しいものだった。60年代の初期までには、学卒間もない若年層が新しく受け入れられたが、依然としてポストは埋められないままだった。社会学は学生の間でブームになり、大学は拡大し、数少ない潜在的な候補者から(困難を伴いながらも)人員を新たに補充していた。70年代までには社会学者の卵は余るようになっていた(ウィリアムスとブラックストーンによれば72年が転換点)。白書は学生数の減少を予測し、深刻な予算の削減が73-4年にかけて、さらなる削減が80年代前半に行われた。サッチャー政権下で社会科学は失墜させられ、その頃までには大学専門職は収縮したようだった。ゆえに、優れた資格を有する候補者ですら新しい機会はほとんどなかった。これら一連の出来事の結果、社会学分野で年齢構造が圧縮された(若年、壮年が欠如)。80年代から職員を兼ねた学生の割合の減少が目立ち、90年代以降、新しい任命が再開したものの以前ほどの水準には及ばず、さらにRAE に応じて研究が強調されるようになった。
歴史的変動はまた、昇進に対しても影響を与えており、初期の段階では、上級のポストが若い人たちによって占められていたため、後年に就職した人の昇進の障害になった。


<方法>p190-192
〜サンプル〜
 計画は、研究経歴の始まり時点で、男女を対等に比べられるような条件下に置くことである。社会学学科で教員の経験を有する人のみを研究対象にした。対象とする社会学学科を6つに制限し、それらに所属していた人のみをサンプルにした。十分なデータを得るために、歴史のある大きな学科を選択した。これらの基準を潜在的に満たすもののうち、女性に対する待遇の水準がばらつくように学科を選択した。さらに、古い大学と60年代後半創立の新しい大学の双方の学科を含んでいるよう、また地理的なばらつきがあるようサンプルは選択された。
 少なくとも90年代まで、対象とした学科には十分には女性がいなかったものの、それぞれの女性に対して、男性の対照者が探された。対照者の主な選定基準は、使用したリストからわかる日付、学科への任命の地位、学位の種類とした。
〜データ源〜
 使用したデータは、文書とインタビューである。主な文書は、CUYB(イギリス大学年報)であり、対象とした学科の全ての成員の数、ジェンダー、地位、資格を確かめるために用いたが、しばしば地域的な素材も補足として使用した。
 可能な限り多く、特定した男女のペアをインタビューした。
 インタビューは、どのように社会学の道に進むようになったのかをたずねることから始め、それからその後の彼/女らの経歴を年代順に追っていった。

<1950年〜2000年の雇用の傾向>p192-194
上で概観したように労働市場は変動している。60年代以前に研究職に就いた人たちは積極的に雇われていた。60年代後半から70年代初め、多くの任命が、今日の基準からすれば大した公的資格のない(PhDなし、MA未遂など)人々になされていた(p192のインタビューも参照)。今日の若い世代では非常勤から常勤講師までは長く、研究経歴の始まりはしばしば曖昧にされている。
 新規雇用の機会は新しい就職口の数次第である。離職率は、現今のグループの年齢によって異なる。新規雇用における大きな変動があっても、在職集団の特徴に実際の差異が現れるには何年もかかる。新規雇用が何年にも渡ってなされていないとき、年齢構造は歪められ、引退率も異なってくる。このことはまた、潜在的な新規雇用率やすでに在職している人の昇進機会にも影響を与える。
 任命率やそれらの構成のされ方は、学科の特徴や新しく学科のメンバーになった人の経験の質に影響する(p193の、60年代に新設の大学に加わった女性のインタビュー、90年代に新しく任命された女性のインタビュー参照)。
 人口の統計的な軌跡は表機銑靴房┐気譴討い襦新しい任命の数の推移は表兇房┐気譴討り、表靴砲茲譴弌∈濘Υ間の平均は、70年代以来著しく高まっている。
<女、男、学科>p194-197
 表犬鉢垢蓮日付を固定した場合の社会学学科におけるジェンダー構造を示している。男女の割合は、90年代に女性の割合が急増しているもことを除けば一定している。(表困發修譴鯲付けているので参照)。
 任命期間のジェンダーでの比較はというと、平均年数には小さな違いしかない(職の長さの分布は表擦鮖仮)。期間の長さはまた去就によっても影響されるが、学科を離れる主な理由は表爾房┐気譴討り、大学関連の別の仕事のために学科を去るというのが主な理由として挙げられる。仕事を去る理由として、ジェンダーの視点からもっとも顕著な差があるのは家族の理由である。例えば、パートナーのために学科を去った女性のケースが6つあるのに対して、男性のケースはゼロである。

<昇進>p197-201
昇進という点からみた経歴についてはどうだろうか。78年の、ハーシュとモーガンの分析によれば、昇進の機会が71年時の基準で維持されれば、昇進に要する平均年齢は上がる、つまり昇進見込みは減退していくということだった。
後年に任命され、昇進できず、それに時間がかかる人たちは相対的な価値剥奪を経験している(p197のインタビューも参照)。
では、昇進をジェンダーの点から見た場合、男女の相対的地位はどうなっているのだろうか。60年代と70年代に任命された年代層を対象にした。表修蓮単一の学科内における昇進を示しており、男性はわずかながら早く昇進している。単一の学科だけでなく他学科を含めた昇進を考慮すると(表召虜能蕕裡殴テゴリを参照)、2,000年までに大学の上級のポストに就いた男女の差はそれほどない。また、単一の学科内で昇進した人に限った場合で、60年代層と70年代層を比較すると、昇進が制限された70年代層ではジェンダーによる差が大きくなっている。
サンプルに含まれたほとんど誰もが、かれらの経歴があらかじめ計画されていたものではなかったと述べた一方で、90年代層は、経歴は計画の関心事になっている。仕事と生活のバランス配分に関して、出世志向的でないサブグループは、60年代のやや政治化した年代層であり、この層は積極的に政治的な活動に関わっていた(p200のインタビュー参照)。また別の、中年の成員による比較的大きなグループは、出世志向、研究志向であったようである。彼らの人生経験は、全体としての大学における変化の形態と軌を一にしていた。最後に、出世志向の若年もサブグループとして認められる(p201インタビュー参照)。 

<家族とパートナーシップ>p201-205
 女性が職業生活でうまくいかないことやそれを去る理由といったら、主婦役割や子育てに対して仕事が優先されないことであったが、女性の一般的な仕事の形態は変化し、結婚し子供もいる女性が仕事をするのは例外ではなくなっている。この研究のサンプルに含まれた多くの女性も子供を持ちながら仕事を続けている。
 50年代や60年代の(大学の)労働市場の状態によると、彼女らは簡単に仕事復帰できたのだが、それは教師の需要がその程度だったからである。もう少し後になると、それほど簡単にはいかなくなるものの、この年代層は、子育てに影響しないような職業生活を開拓することが可能であり、その点でより若い年代ほどのストレスはないようである(p202の60年代に職についた女性、70年代に結婚し子供を持った女性のインタビューを参照)。
 70年代の風向きの変化は、幾人かの個人生活にも影響を与えた。ある女性は大学内で結婚し、子供を持ったのをきっかけに研究の仕事をあきらめ、子供が学校に通うようになってから、非常勤から経歴を再開した。さらに若い年代には子供を欲しくない人たちもいた(P203の中程のインタビュー参照)。また、子供を持ちながらなんとかやっていこうという女性もおり、彼女の場合、大学が託児所を提供しているとはいえ困難がないわけではなく(p203中程下のインタビューを参照)、シングルマザーの別の女性は、犠牲を払いながらも経歴を優先したために、母親失格だと感じている(p203-204のインタビュー参照)。
 子育ての荷を負ったのは女性だけではなく、協力的な新しい男性の好ましい例もある(p204-205の3つのインタビュー参照)。

<結論>p205-206  (本文の結論はまとまりが悪いため冒頭の要約で代用)
 イギリスの社会学における1950年以来の男女の経歴を比較したところ、しばしば指摘されるほどには男女の経歴は異なっていなかった。女性の経歴においては家族の事情がより顕著であるものの、最終的な到達点では男性とそれほど差はなかったのである。しかし、雇用される女性の割合は時期によって異なっており、両性の経験は歴史的な要因に強く影響されている。歴史的な要因が課す制限内で、個々人はすべて同じ選択をしているわけではなく、そのこともまた経歴に影響していると言える。
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