Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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マクドナルド化した社会:果てしなき合理化のゆくえ(21世紀新版)

George Ritzer, 2004, The McDonaldization of Society, Pine Forge Press (=2008, 正岡 寛司 訳『マクドナルド化した社会: 果てしなき合理化のゆくえ 21世紀新版』早稲田大学出版部).
邦題は若干変更されているが、1994年に出版された本(邦題は『マクドナルド化する社会』)の改訂版。現代世界では、マクドナルドに象徴されるような形式合理化が、社会のあらゆる領域でますます進んでいることを主張し、批判した本。学術書というよりは、一般読者のために書かれた本で、読みやすい。が、本を読む時間の十分にない専門家にとっては冗長と感じるかもしれない。基本的には、ヴェーバーの合理化論を敷衍しているだけなので、あまり目新しい点はないのだが、Ritzer によれば、かつての合理化論は生産の領域のみを対象としていたが、消費の領域も合理化されているということを主張した点が新しい。しかし、生産の合理化とは区別された消費の合理化という概念は私にはどうもピンとこないのである。消費の合理化とは結局、サービスの合理化に還元されるような気がするのである。実際、Ritzer は両者をどう区別するのか明示していない。おそらく画一的な商品を画一的に消費することを消費の合理化と呼んでいるのだろうが、それは結局、ハンバーガーやファーストフードショップでのサービスが画一化されているということであって、人々のハンバーガーやファーストフードショップの楽しみ方が画一化しているとは限らない。おしゃべりの場所であったり、読書の場所であったり、簡易宿泊所であったりと、ファーストフードショップの利用法もさまざまである。けっきょく、ヴェーバーの合理化論を現代的に焼きなおした、という以上の意義を感じられないのである。しかし、一般の読者にはヴェーバーよりもずっとわかりやすく、様々な事例にあふれ、グローバル化やポスト・フォーディズムなど近年の社会変動との関連にも触れてあり、読み物としてはよくできているのではないだろうか。

この本の論調で私にとって不愉快なのは、貴族趣味的な大衆蔑視である。一言でいえば、「マクドナルドでハンバーガーを食うやつはみんなバカだ」というのが、Ritzer の主張だからだ。いわば、自分からアウシュビッツのガス室に入っていくようなものだ、といっているのである(実際、Ritzer は合理化の先例としてホロコーストについて念入りに紹介している)。客観性を装いつつも、マクドナルドの顧客は愚かな大衆として印象付けられており、そういうやり口には、不快感を禁じえない。確かに Ritzer 自身は高級レストランの食事やスローフードを楽しむお金や時間を持っているのであろうが、大半の人々は Ritzer ほどリッチではないのである。また、Ritzer 自身も認めるように、ファーストフードをはじめとした合理化したシステムとの付き合い方は、人によってかなり多様性がある。Ritzer は、サービスの合理化がそれなりに人々のニーズにマッチしているという側面を著しく軽視している。また、形式合理性の低い社会とは、恣意性と専制が支配する社会でもある。形式合理性の低い社会とは、Ritzer が言うような単に料理の味にバラつきがある、というだけの社会ではない。欠陥住宅や食中毒やセクハラや年金の不払い、賄賂や権力の恣意的な行使が頻繁に起きる社会でもある。Ritzer は形式合理性のこのような負の側面を見ようとしていない。実際、Ritzer も官僚制を破壊しろと言っているわけではなく、せいぜい組織の規模はあまり大きくするな、といった程度のことしか言っていないのである。もちろん Ritzer 自身もその程度のことで様々なサービスや商品の合理化が止まるとは思っていない。

重要なのは、合理性を批判して非合理性を称揚するのではなく、合理性の基準と方向性をより良いものに変更していくことではないだろうか。ファーストフードが病気や環境破壊のリスクを高めているのならば、こういったリスクを低減するためのルールを作り、すべてのファーストフード・レストランにこれを遵守させるべきである。それは結局、形式合理性の方向転換と貫徹でしかないのではないだろうか。

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