Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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メディア批評系の卒論をどう指導するか
来年度の卒論指導に向けて、今年度の反省や感想を簡単にまとめておこうと思う。今年感じたのは、 アニメやマンガなどを批評する卒論は難しそうだということである。なぜか流行歌の研究は比較的うまくいっているような気がするし、アニメや漫画、ゲームなどにしても、必ず失敗することを運命づけられているというわけではないだろうが、これまでの卒論の例を見る限り、失敗率が高そうな気がする。印象論で言うと、失敗率が高い理由は3つ考えられる。
  1. まず、深く考えず安易にメディア批評を選ぶ学生が多いこと。メディア現象は身近な社会現象だろうし、メディア批評の中には面白いものもある。学生がこういったテーマに魅力を感じるのはよく理解できるのだが、読んで面白いからといって自分が面白いものをかけるとは限らない。メディア批評の論文が『社会学評論』や『ソシオロジ』のような主要な社会学雑誌に載ることはまれだと思うが、それはメディア批評をオリジナリティのある社会学の論文にまで高めることが、プロの社会学者でも難しいからだと私は思っている。とうぜん文芸・芸術・音楽の社会学(以下では芸術社会学という語で総称)に関する深い造詣が求められ、芸術社会学がかかえる方法論上の困難にも対応する必要があり、決して簡単なテーマではないのだが、そのことを認識せずに安易にテーマとして選ぶ学生が多いように思う。
  2. 失敗率が高い第2の理由は、メディア批評を社会学にすることが難しいことにあるように思える。メディア批評の中には、作品に対する理解は深めるものの、社会に対する理解は深めないものが結構ある。例えば『コード・ギアス』の中にコロニアリズムとナショナリズムのモチーフが含まれていることを指摘しても、現実の社会に対する理解が深まるというわけではない。むしろ現実の社会に対する理解が作品に対する理解を重層化しているというほうが、実態に近い。社会学的な知識はアニメを楽しむうえでも役に立つが、社会学的知識を動員することで作品への理解を深めても、社会に対する理解を深められなければ、それは「社会学」の論文としては認められないということである。
  3. メディア批評卒論が失敗しやすい第3の理由は、「反映」論というアプローチの持つ困難に起因する。反映論とは、アニメやマンガなどの作品の内容は社会の実態を反映しており、作品の内容を通して現実の社会の実態を知ることができるという考え方である。例えば、ナショナリズムを肯定するような作品の人気があることから、現実の社会においてナショナリズムが強まっていると解釈するのが反映論である。メディア批評を社会学にしようとする場合、反映論はもっとも手っ取り早い方法であり、このような方法を用いる学生もいる。しかし、 この種の反映論は、昔から激しく批判されている。なぜなら、アニメもマンガもフィクションである以上、その内容のすべてが現実を反映しているわけではない。それゆえ、批評家はそのうちの一部を現実の反映ととらえ、その他の部分は現実の反映ではないと解釈する。例えば、『コード・ギアス』の中のナショナリズムは現実の反映だが、ギアスと呼ばれる超能力の存在は現実を反映しているわけではないと解釈される。しかし、このような切り分けは恣意的である場合が多い。『コード・ギアス』の支持者たちはナショナリズムの部分に魅力を感じているのではなく、キャラクターの容貌や個性に魅力を感じているのかもしれない。つまり現実の社会はナショナリスティックではないのかもしれない。また、仮にナショナリズムのモチーフを面白がっていたとしても、彼らがナショナリストであるとは限らない。
もちろん、こういったメディア批評卒論が抱える困難は、絶対に克服不可能というものではない。安易にメディア批評を卒論のテーマに選ぶことはやめてほしいが、よく勉強したうえであえて選ぶのであれば止める理由はない。また、上にあげた困難も、うまくやれば回避できるかもしれない。例えば、ある頃からナショナリズムを肯定的に取り扱う作品がその他の作品に比べて平均的に高い人気を誇るようになったとすれば、それはやはり時代の気分を反映しているのかもしれない(もちろん疑似相関の可能性もあるが)。また反映論以外の方法もあるのかもしれない。

このように考えてくると、メディア批評を卒論でやりたいという学生に対しては、以下のように対応するのがいいような気がする。

  1. まず文芸・芸術・音楽の社会学の方法に関する本を5冊以上読むように指導する。
  2. それでもなお、メディア批評をやりたいという気持ちが変わらず、実現可能性のある研究計画がたつならばそのままやらせる。
  3. 無理そうならば、方向性を少し変えてもらう。コンテンツ産業について調べるとか、アニメ・ファンについて調べるとか、作品をめぐる人々の活動のほうを研究してみる。

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コメント
from: keeep   2012/02/02 11:15 PM
色々勉強になりました。
例がコード・ギアスなのが面白いですね。
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メディア批評系の卒論をどう指導するか | Theoretical Sociology 非常に考えさせられる、問題提起でした。 ただ答えを一言で言うと、「先行研究の有無」なのです。 >なぜか流行歌の研究は比較的うまくいっているような気がするし、 このことが端的ですが
Aa's column | 2012/02/02 10:53 PM
 

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