Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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ヘルド編『グローバル化とは何か』を読む

David Held, 2000, A Globalizing World? Culture, Economics, Politics, Routledge (=2002, 中谷義和 監訳『グローバル化とは何か:文化・経済・政治』法律文化社).
Open University のテキストの翻訳。初学者向け。グローバル化に対する見方をグローバル論者 (globalist)、伝統論者 (traditionalist)、変容論者 (transformationalist) の三つに分け、それぞれの観点から、文化、経済、政治のグローバル化についてどのような議論がなされてきたか論じている。グローバル論者とは、グローバル化によって世界のすべての社会があらゆる面で収斂していくことを強調する人々のこと。このような収斂を肯定的にとらえる楽観論者と否定的にとらえる悲観論者に分けられる。一方、伝統論者は、グローバル論者が夢想するような収斂は現実には起きておらず、20世紀末にそれ以前とは本質的に異なる世界が生まれたなどということはないと主張する。そして変容論者は、グローバル論者と伝統論者の中間である。こういう分類をすると、中間の変容論者が正しいという話になりやすいのは当然なのだが、経済のグローバル化に関してはけっこう伝統論者が支持されており、意外であった。ただデータが1990年代の半ばぐらいまでしか手に入らなかった時の議論なので、現在同じようなデータ分析をしたらどういう話になるのかは知りたいところである。

特に目新しい理論やデータがあるわけではなく、既存の国際貿易や国際関係論、社会理論が援用・拡張されているだけで、グローバル化に関する独自理論などないという印象である。けっきょくグローバル化が進んでいるかどうかは国や地域、社会階層などによって異なるだろうし、どのような事柄か(例えば、外国人労働者の受け入れか、海外のTV番組の受容か、政府間組織の影響力か)によっても異なるはずで、地道なデータの蓄積と理論構築が必要であるということを再確認した。

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