Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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米国における幸福の不平等の年齢・時点・コーホート分析, 1972-2004

Yang Yang, 2008, "Social Inequalities in Happiness in the United States, 1972 to 2004: An Age-Period-Cohort Analysis," American Sociological Review, Vol.73 No.2, pp.pp. 204-226.
幸福度の年齢・時点・コーホート分析をやってみたらこうなりました、という記述的な論文。データは GSS の1972-2004年(18〜88歳で黒人と白人のみに限定)で、被説明変数は 1 = very happy; 2 = pretty happy; 3 = not too happy という3点尺度。モデルは累積ロジット(順序ロジットともいう)のマルチレベル・モデル(調査時点×出生コーホートがグループ)で、切片が調査時点と出生コーホートのランダム効果によって変動し、性別と黒人ダミーの傾きが調査時点によって変動するというモデルが最終的に採択されている。年齢は二乗項を投入し、出生コーホートは機械的に5歳刻みに設定されている。年齢と性別のみを投入したモデルでは、年齢は、上に凸の逆U字型の有意な関連を示し、68歳前後で幸福度は最も高くなる(ただしモデルから予測される18歳時と68歳時の very happy 率の差は5%ポイント程度)。しかし、健康度や離別・死別ダミー、学歴といったコントロール変数を投入すると、年齢の効果は一変し、下に凸のU字型になる。ただ幸福度の底は18歳ぐらいなので、サンプルの中では右肩上がりの変化となる。年齢の効果が一変する理由はおそらく、高齢になると健康度が下がり死別を経験する人も増えることによって、高齢者の幸福度は下がるだけで、年齢そのものの効果は右肩上がりということなのだろう。調査時点とコーホートによる切片のばらつきは5%水準で有意になっているが、でこぼこしているだけで特に明確な傾向は見られない。特に出生コーホートによるばらつきは小さい。調査時点による男女の幸福度の差の変化を見ると、男女差は縮小傾向(女性のほうが幸福度は高かった)で、2004年にはほとんど差はなくなっている。

いろいろ細かいところがずさんなので、どこまで信じていいのか不安にさせる論文である。順序ロジットなのに、モデルの式は、ただの線形回帰モデルになっているし、性別と黒人ダミーの傾きには時点のランダム効果だけしか投入されていないのに、式ではコーホートのランダム効果も投入されていることになっているし、年齢とその他の変数の交互作用の付け方がおかしい(二乗項との交互作用効果がつけられていない。この点については以前の記事を参照)し、結果をオッズ比で示すから交互作用効果の解釈が面倒だし、ランダム効果の推定がゆがんでいるのではないかという疑いも消せないし、というわけでいささか残念な論文である。ただ一番問題なのは、メイン・ストーリーがない点で、この論文で何を言いたいのかはっきりしない点である。幸福度の年齢・時点・コーホート分析はやられていないので、やってみました、という以上の意義を示せていないのである。上記のようにそれなりに興味深い発見はあるのだが、焦点がはっきりしないため、批判の矛先もあらゆる部分に向けられることになってしまうという、損なスタイルである。焦点がはっきりしていれば、結論の導出プロセスが間違っていなければ、細部はどうでもいいというふうに読んでもらえるのだが、議論が拡散すると様々な細部を読み手は思い思いに問題にするので、批判を受けやすくなってしまうように思う。

日本では若者は幸せだとか、いわれているようだが、米国では若者は相対的に不幸であるという結果になっている。ただし、年齢(またはコーホート)と時代の交互作用効果は検討されていないので、ちゃんと調べれば、違った結果が出るのかもしれない。

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