Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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直下の和書の英語版です。審査を通過するためにレフェリーのコメントに従って若干修正してあります。
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独断と偏見で選ぶ数理社会学会ベスト報告「保守主義と認知能力:遺伝要因の媒介効果と調整効果の検討」

例によって、私が聞いた報告の中から独断と偏見でもっとも面白いと思った報告を選びます。私が聞いていない報告もありますし、聞いていても適切にその価値を判断できない報告もあるので、あくまで私の独断と偏見です。今回私がもっともおもしろいとおもったのは、

敷島千鶴・山形伸二・平石界・安藤寿康「保守主義と認知能力:遺伝要因の媒介効果と調整効果の検討」
です。一卵性双生児と二卵性双生児の保守主義と認知能力(頭の良さのようなもの。IQなどで測られる)を調べ、両者がどの程度遺伝的に決定されており、両者にどの程度相関があり、相関があるならばその相関はどの程度、遺伝、環境要因によって作られているかを研究しています。結果として保守主義は60パーセント、認知能力は70パーセント程度が遺伝によって決定され、残りは双子が共有していない環境要因によって決まっているという結果でした。これが本当なら親の育て方は子供のIQにあまり影響しないことになるので、知能を高めるために親は必死になる必要はないのでしょう。ただ、このデータでは保守主義と認知能力の相関はほぼ 0 でした。しかし、IQが高いほど保守主義の程度の分散が大きくなるという結果が示されており、IQが低いと中間的な態度をとるが、IQが高いと極端な立場に傾きやすいということでした。

フロアからは米国での研究成果との違いの背景や保守主義の指標の解釈、分析結果をめぐっていくつかコメントがなされ、それらも興味深く聞きました。やや批判的な論調のものが多かったように思いますが、私はこの種の研究の価値の高さと、分析法の面白さを高く評価し、ベスト報告に選びました。

私が学生の頃は社会学主義全盛の時代で、遺伝の効果に肯定的に言及しようものなら袋叩きにあいそうな雰囲気が社会学の大学院にはありました。私自身は、遺伝には還元できない環境要因が色々あることは確信していたものの、遺伝の効果をすべて否定しようという人たちにはまったく共感できず、「結局何パーセントが遺伝的に決まるのか、という問題でしょう?」と思っていましたが、ちゃんとそういう研究がなされていることを知り、心強く感じた次第です。また、分析法も興味深く構造方程式モデリングの奥深さを改めて感じたのでした。

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