Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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イギリス社会学における方法論的多元主義?

Geoff Payne, Malcolm Williams and Suzanne Chamberlain, 2004, "Methodological Pluralism in British Sociology," Sociology, Vol.38 No.1, pp.153-163.
イギリス社会学における量的研究の未発達を指摘した論文。Payne, Williams and Chaberlain によると、イギリスでは方法論的多元主義という原則を多くの社会学者が支持しているという。ここでいう方法論的多元主義とはさまざまな方法に対して寛容であることをさす。確かに個々の社会学者がそのような方法論的な寛容さを持っているのは事実であろうが、しかし、イギリスの社会学者の用いる方法が多様であるわけではないと Payne たちはいう。

イギリスでは理論や質的研究へのかたよりから、Economic and Social Research Council (ESRC) が再三、統計的な教育訓練を社会科学系の分野でもっと行うように方向付けしてきたという。例えば、統計のセミナーを開いたり、大学院教育プログラムのガイドラインを作ったり、統計的研究に予算を多めに配分したりといったことをしてきたらしい。しかし、Payne, Williams and Chaberlain によれば、このような ESRC の努力にもかかわらず、イギリス社会学では統計的な研究は依然として少数派であるという。

根拠となるデータは1999年と2000年にイギリスの主要な (mainstream) 社会学一般誌( Sociology, British Journal of Sociology, Sociological Review そして Sociological Research Onlineの 4誌)に掲載された論文のすべてと、同じ年にイギリス社会学会 (conference) で報告された論文、および、同じ年の Work, Employment and Society (WES) に掲載された論文である。WES はイギリス社会学会の公式誌のひとつで、けっこうインパクト・ファクターも高い。これらの論文のテーマと方法をアフター・コーディングして分析している。

主要な結果は下の表(p.159 より転載)のとおりで、WES 以外では、いわゆる計量社会学は少数派であることがわかる。

univariate とは 1変数の代表値や分布にのみ言及してある(例えば日本の失業率は 5% とか)論文、bivariate とは二変数の関連に言及してある論文(例えば男女の失業率の差は 1ポイントとか)、そして multivariate とは3変数以上の同時分布を分析してある論文である。計量社会学という場合、ふつうは multivariate な分析をすることが多いのであるが、そう考えると計量社会学は主要誌に掲載された論文のうちのたったの 6.1% だけで、日本よりも少ないことになる。WES はそういう意味ではイギリスでは例外的な雑誌といえる。イギリス以外の著者の比率も高そうな印象も個人的にはある。このような結果を踏まえて、「質的研究を減らすのではなく、量的な研究を増やすことが必要だ」と Payne らは結論付けている。それはつまり理論的研究を減らせ、ということなのか、それとも社会学の論文やポストの数を増やすことでパイ全体を大きくしようということなのかは、書かれていないが、後者のニュアンスで私は受け取った。

研究テーマの分類結果を見ると、一位が "stratification and class" (14.8%)、二位が "education" (11.9%) 、三位が、 "social change/technology" (10.2%)、四位が "research methods" (9.8%) 五位が "family and household" (8.6%) となっていた。このように論文を特定のテーマに排他的に分類することに意味があるのかどうかは疑問であるが(複数の分野に属す論文がかなりあるから)、米国とも日本とも違った嗜好で興味深かった。 それにしても ESRC はなぜそれほどまでに統計の利用を社会科学に普及させたいのだろうか。やはり予算獲得上、必要だと考えられてきたのだろうか。

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