Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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バウマン『新しい貧困』

ちょっと期待して読んだので、落胆が大きく、いつもよりも辛らつかもしれないので注意。新しい貧困とは、アンダークラス論争に見られるように、貧者=犯罪者、貧者=余剰という考え方だというのだが、特に新しいとも思えないのである。貧者と犯罪者を同一視する見方はアンダークラス論争以前からずっとあるし、貧者=余剰もマルサスを思い起こせばわかるようにずいぶん昔からある。マルキストならば相対的過剰人口という言葉を思い起こすであろう。生産社会から消費社会へという議論もボードリヤールの『消費社会の神話と構造』が1970年に出版されたことを思うと、ぜんぜん新しくない。

さらに、かつてはプロテスタントの倫理のもとで、すべての労働に神聖な価値が付与されていたが、現在では、そのような価値を感じられる仕事につけるのはほんの一握りの人たちだけである、という議論も理念と実態を混同した根拠薄弱な議論に過ぎない。実態として高い専門性やスキルの必要な仕事が減少しているという話ならば、ブレイヴァマンやローズマリー・クロンプトン、ライシュをはじめとして、バウマンよりも先にバウマンよりもよく読まれている本がいくつか出ている。また労働者が実際に持っている労働倫理のレベルで言えば、労働者階級がどこまでそのような労働の神聖性を信じていたのかについては、以前からかなり疑わしいとする議論はいくらでもある。例えば、『ハマータウンの野郎ども』がそうであるし、コーンとスクーラーによる階級と仕事に関する価値観の研究がそうである。また、道徳家や経営者、キャリア・カウンセラーのレベルで言うならば、今でもあらゆる労働は神聖だと喧伝され続けているのであり、バウマンの議論は根拠のない、あまりぱっとしない思いつきか、先行研究の繰り返しに過ぎない。

雇用が不安定になったせいで仕事がアイデンティティのよりどころとなりえなくなった、という議論も女性であれば昔はそうであったし、男性に関しても、どこまでそういえるのか、もっとまじめに調べろ、とだんだんいらいらして来るのである。雇用が不安定で職を転々としていた男性は昔からいるが、それでは仕事が彼らのアイデンティティのよりどころでなかったのかというと、必ずしもそうではあるまい。

総じて労働研究に通じていれば、ごく平凡に思われる主張か、かなり疑わしいちょっとした思い付きを並べ立てただけだというのが残念ながら正直な印象である。

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