Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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Rスクリプト覚書き:選好度の写像分析法

現実逃避のために選好度の写像分析法のプログラムを書いたので、掲載しておく。選好度の写像分析法とは、多次元空間上に外部データの情報を重ねるために用いられる。私の場合、職業威信のデータを多次元尺度法 (MDS) にかけて、二次元空間上に職業をプロットしたあと、職業の特性(在職者の平均収入や学歴など)をプロットするという作業をするために使ったことがある。このように MDS の結果を解釈するときに役に立つが、別の利用法もあるのかもしれない。下の図は米国の各州を犯罪の発生率のデータを使って犯罪発生率が類似しているほど近くになるように各州をプロットしたものである。

例えば左上の方に Georgia と Louisiana が近くに布置されているが、これらの州は犯罪発生率のパターンが似ているということである。矢印と赤字でしめしてあるのが、選好度の写像分析法の結果で Murder の矢印が左上に伸びているが、こちらの方向にあるほど殺人の発生率が高いことを示す。正確にはこの矢印上の座標の値が殺人の発生率とできるだけ高く相関するように矢印の角度を決めている。例えば、North Carolina では殺人が多く、Hawaii では逆に少ない、ということになる。矢印の長さに意味はないが、相関の大きさに比例するように作ることもできよう。

データは必ずしも選好度でなくても良いのだが、岡太・今泉 (1994) では選好度の分析が想定されていたので、このように呼ばれたと思われる。以下は R のスクリプト。我流なのでちょっと恥ずかしい。 prefmap という関数が選好度の写像分析のための関数で、s が選好度行列(例では各州の犯罪発生率と都市人口比率)で x は各州の座標である。結果は、選好度をベクトルで表す場合と点で表す場合の二通りで、適合度の指標として調整決定係数を示してある。適合度とは、点やベクトルがどの程度うまく実際の犯罪発生率や都市度を示しているかを示す指標である。この例の場合、都市度の調整決定係数が低く、この空間上に点やベクトルで都市度を示すのが難しいことがわかる。

自作スクリプトの出力
$ベクトル
             x[, 1]     x[, 2]
Murder   -0.7695444  0.6385933
Assault  -0.9386242  0.3449415
UrbanPop -0.3401471 -0.9403722
Rape     -0.5672143 -0.8235703

$点の座標
              x[, 1]     x[, 2]
Murder   -23.1943939  18.916051
Assault   36.1361960 -13.511878
UrbanPop  -0.8182509  -1.820102
Rape     -29.1844961 -42.215030

$調整決定係数
                  adj.r.squared.vector adj.r.squared.points
Response Murder              0.9176126            0.9166173
Response Assault             0.8881425            0.8860540
Response UrbanPop            0.1492228            0.2326966
Response Rape                0.9863168            0.9864470

上記の計算のためのスクリプト(2次元空間にしか対応していないので注意)
prefmap <- function(s, x){ # s が選好度行列(行が対象)、x が布置行列(2行)
  x.squared <- rowSums(x^2)
  s <- as.matrix(s)
  lm.vector <- lm(s ~ x[,1] + x[,2])
  lm.points <- lm(s ~ x.squared + x[,1] + x[,2]) # まとめて回帰分析
  ivector0 <- coef(lm.vector)[2:3, ]
  ivector <- t(ivector0)/sqrt(colSums(ivector0^2))
  ipoints <- 0.5*t(coef(lm.points)[3:4, ])/coef(lm.points)[2, ]
  getR2 <- function(x) x$adj.r.squared # lmサマリー・オブジェクトから調整決定係数をとってくる関数 
  adj.r.squared.vector <- sapply(summary(lm.vector), getR2)
  adj.r.squared.points <- sapply(summary(lm.points), getR2)
  return(list("ベクトル"=ivector, "点の座標"=ipoints,
              "調整決定係数"=cbind(adj.r.squared.vector, adj.r.squared.points)))
}
# 分析例
head(USArrests) # 米国各州の各種犯罪発生度と都市化の程度のデータ
d0 <- scale(USArrests[,-3]) #データを標準化
dist0 <- dist(d0) # 距離行列の作成
library(MASS)
mds0 <- isoMDS(dist0, k=2) # 非計量的多次元尺度法、2次元解

plot(mds0$points, type="n") # 結果をプロット
text(mds0$points, labels=labels(dist0))

(p0 <- prefmap(USArrests, mds0$points)) # 理想点と理想ベクトルの計算 
arrows(0, 0, p0$ベクトル[,1], p0$ベクトル[,2]) # 点は書きにくいのでベクトルを矢印で
text( p0$ベクトル[,1], p0$ベクトル[,2], names(USArrests), col="red")
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