Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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Pichler, 2012, コスモポリタニズムの国際比較:グローバル化は寛容性と世界政府への志向をはぐくむか?

Florian Pichler, 2012, "Cosmopolitanism in a global perspective: An international comparison of open-minded orientations and identity in relation to globalization," International Sociology, Vol.27 No.1, pp.21-50.
コスモポリタニズムの規定要因を探索的に分析した論文。データは World Values Survey 2005-2008 で、49カ国分のデータが用いられている。コスモポリタニズムは以下の4つの尺度で測定されている。
  1. 強いグローバル・アイデンティティ:「私は自分のことを世界市民だと思う。」に対して、「非常にそう思う」「そう思う」「そう思わない」「まったくそう思わない」の4択(日本語の質問票は未確認)、という質問項目を使っている。この変数をもとにして、「非常にそう思う」と答えた場合1、それ以外は0というダミー変数を作って、強いグローバル・アイデンティティの指標にしている。全サンプルの平均は 0.30。ダミーに変換したのは、順序変数だとマルチレベル・モデルで推定がうまくいかないからだという。
  2. 弱いグローバル・アイデンティティ:上と同じ質問項目を使い、「非常にそう思う」または「そう思う」と答えた場合1、それ以外は0というダミー変数を作っている。
  3. 倫理的コスモポリタン志向:以下の変数を主成分分析にかけた結果えられた主成分のうちの一つ(主成分得点なのか、単純加算なのかは不明)。
    • 信頼尺度:外国人を信頼するか、と、自分とは違う宗教の信者を信頼するか、の単純加算(アルファ=.83)。
    • 寛容性尺度:自分とは違う人種、宗教、言語、移民の人が近所に住んでいても気にしないか、を問う 4つの質問項目の回答の単純加算。
    • 民族的多様性に対する態度:「民族的な多様性は国の一体感を崩す」と「民族的な多様性は人生を豊かにする」のどちらの考えに近いかを尋ねた質問(10件法)。
    • 国際的な政治的決定への志向:以下の5項目について、国民国家ではなく国連等の超国家的組織で政治的決定がなされるべきだと考えるかを尋ねた5つの質問項目の単純加算尺度。「平和維持」「環境保護」「発展途上国への援助」「難民」「人権」。
    • ナショナル・アイデンティティの反転尺度:国家への帰属意識、地域への帰属意識、国を誇りに思うか、国のために戦争に行くか、の4つの質問項目を単純加算して反転。
    信頼尺度、寛容尺度、民族的多様性志向が一つにまとまったので、それを倫理的コスモポリタン志向と呼んでいる。
  4. 政治的コスモポリタン志向:上記の主成分分析の結果えられたもう一つの主成分は、国際的な政治的決定への志向とナショナル・アイデンティティの反転尺度に高い因子負荷量がかかっていたので、これを政治的コスモポリタン志向と名づけた。
上記の4つの尺度を目的変数として、マルチレベル・モデルで分析がなされている。個人レベルでは、高学歴で専門職ほどコスモポリタンというのは、4つの尺度に関して共通だが、その他の変数に関しては、尺度によって有意だったり、有意でなかったりで、あまり明確な傾向はつかめない。国レベルでは、グローバル化した国ほど強いグローバル・アイデンティティの持ち主が少ない、という直感に反する結果が得られている。これはアフリカ等の発展途上国で強いグローバル・アイデンティティの持ち主が多く、グローバル化が進んでいないからであると、Pichler は述べている。倫理的コスモポリタニズムと政治的コスモポリタニズムには、グローバル化の程度は有意な効果を持たず、国の経済力や言論の自由、コスモポリタン指標が有意な効果を持っている。コスモポリタン指標とは、上記のグローバル化、経済力、言論の自由の得点を一因子にまとめたものなので、これらの変数と同時にモデルに投入すると、多重共線性が生じて識別不可能になるはずだが、なぜか推定できている。

探索的すぎてポイントの不明な論文なのだが、コスモポリタニズムの概念と測定を理解するのに役立ったと思う。分析結果はよくわからない点が多すぎて、あまりまじめに受け取る気になれない。

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