Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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Lübker 2004, 「不平等意識の国際比較」

Malte Lübker, 2004, "Globalization and Perceptions of Social Inequality," International Labour Review, Vol.143 No.1-2, pp.91-128.
不平等に関わる意識を探索的に国際比較した論文。タイトルには「グローバライゼーション」という単語があるが、グローバル化はまったく分析されておらず、憶測の域を出ない議論がほんの少しあるだけで、誇大広告のようなタイトルになっている。データは主に International Social Survey Program (ISSP) 1999 で、一部、1992年と1987年のデータにも言及されている。分析されているのは最大で31の国と地域であるが、1987, 1992年との比較の際には、12カ国程度まで減少している。マルチレベル型のデータであるが、マルチレベル分析はなされておらず、分析は国を単位としてなされている。特にストーリーはないので、以下、気になった事実をメモしておく。

国内における収入の不平等認知の平均値(以下、「の平均値」は省略)には、実際の収入の不平等がある程度影響を及ぼすが、国のタイプ(アングロサクソン諸国、その他の先進国、旧社会主義国、発展途上国)のほうがずっと影響力が強い印象で(標準化係数などによる比較はないのであくまで印象)、実際の収入不平等でコントロールすると、旧社会主義国で国内における不平等の認知度が最も高く、次がその他の先進国、そしてアングロサクソン諸国、最後が発展途上国であるが、発展途上国はブラジル、チリ、フィリピンの3カ国しかないので一般化はできないと思ったほうが良かろう。1987年からの変化も分析されているが、ざっくりとしたまとめを見る限り実際に不平等が上昇した国で不平等認知が高まっているという結果は見られない(が、ちゃんと分析してみないと本当のところはわからない)。ただ14/24の国×変化(1987--1992年の変化と1992--1999の変化を別のケースとしてカウント)で不平等認知度が有意に高まっている。

国家間の貧富の格差の認知と一人あたり GDP の相関を見ると、豊かな国ほど貧富の格差を認知していないという傾向があるが、上記の4つのタイプでコントロールすると、相関が消え、やはり旧社会主義国でもっとも不平等認知度が高く、次はその他の先進国、そして発展途上国、最後がアングロサクソン諸国である。

国家間の所得の再分配に対する支持度を見ると一人あたり GDP の低い国ほど国家間の所得の再分配を支持する傾向がある。

ちなみに日本は、国内の不平等認知は相対的に低いが国家間の不平等認知は高い。再分配政策には国内でも国家間でも支持度が相対的に低い。

個人的に面白そうだと思ったのは、国家間の不平等認知と国家間の再分配政策への支持である。これはコスモポリタンな意識と相関がありそうだが、実際にどうなっているのか確かめてみたいところである。またこれらにかんしては時系列比較がないが、どう変化しているのか知りたい。このあたりは聞き方で回答は大きく変わってくると思われるので、指標の検討が期待される。ISSPでは、「豊かな国の人々は貧しい国の人々を助けるために余分に税金を支払う (make an additional tax contribution) べきである」という意見に対する賛否を訪ねているが、例えば「あなたは日本が貧しい国に経済援助するのに賛成ですか」というワーディングならば賛成率はぐっと上がるだろう。大半の日本人は「他国の国民の人権を守る義務が日本政府や日本人にある」とは思っていないだろうが、「多少ならば貧しい国のかわいそうな人達のために援助するのもいいだろう」ぐらいに考えている人はある程度いるような気がする。これはいわゆるミーンズテスト付きの給付に近い感覚だと思うが、このあたりの問題は少し面白そうな予感がする。

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