Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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「オーストラリアの知識人はポスト・モダン状況を生きているのか?」 あるいはネオリベとポストモダニズムの共犯関係をめぐるメモ Connell and Crawford 2005

R. Connell and June Crawford, 2005, "Are We Postmodern Yet? The Cultural Politics fo Australian Intellectual Workers," Australian Journal of Political Science, Vol.40 No.1, pp.1-15.
専門職の人達に対する意識調査の結果を探索的に分析した論文。レベルは京大の修論の平均ぐらいか。あまり出来は良くない。ポストモダンの意味は定義されていないが、ある種の意識が生産関係に規定されていない状態をポストモダンな状態と呼んでいるようである。ボードリヤールの『生産の鏡』が参照されている。

調査は2000年で対象者は「知識人」で、40種類の専門職を選んだというが具体的には不明。サンプルは調査会社のモニターや業界の名簿等を出発点としてスノーボール・サンプリングし、電話調査をしたという。サンプル・サイズは 500。分析の対象となっている質問項目は以下の表のとおり。

この表の項目の2を反転させたものと5を足しあわせたものが6以上かどうかを示す二値変数を「市場支持」と呼び、3と6を足したものが6以上かどうかを示す二値変数を「文化的悲観主義」と呼んで、属性との関連を分析している。その結果、市場支持は一般企業に雇われている専門職と自営業の専門職で相対的に強く、文化的悲観主義は非正規雇用や低収入層で強いといった点を取り上げて、オーストラリアの知識人はポスト・モダン状況にあるとはいえない、といった結論に持って行っている。

分析のやり方も色々変だし、議論の作りも色々問題があるので、あまりまじめに議論してもしかたがないのだが、「ポストモダン」という言葉の用例を採取するために読んだ論文なので、そことの関連でもう少しコメントしておく。文化的悲観主義もポストモダンの特徴と解釈されているようだが、あまりはっきりとは述べられていない。真理や正義といった大きな物語の否定はポストモダニティの特徴としてよく言及されるが、「文化の水準」の低下といった認識がポストモダニティの特徴かどうかについては議論のわかれるところかもしれない。

また、市場支持もポストモダニティの特徴とみなされているようなのだが、これも微妙である。確かにネオリベラリズムはオイルショック以降に強まるので、ポストモダニティの到来と時期は同じである。ただネオリベがポストモダン現象の一種であるとどうして言えるのか私にはよくわからない。ネオリベは政府の市場への介入を否定するわけで、それは政府による理性にもとづく計画経済の否定であるから、ポストモダンの一種だという理屈なのかもしれないが、市場のメカニズムは科学的に理解可能だし、市場の挙動は予測できるし、政府は市場を整備することで経済を良い方向に導くことができると信じているという点では、十分に理性と進歩を信じているとも言える。また生産よりも消費が優位に立つといった主張もしばしばポストモダニズムと結び付けられるが、これもネオリベとの相性がいいような気がしないのだが、どうだろうか? 一般にポストモダニズムとネオリベラリズムの関係がどう考えられているのか知りたいところである。

ざっとググった感じでは、ネオリベとポスモダは、フォーディズムという共通の敵を持っており、共犯関係にあったというような指摘が出てくる。実感としてはわからなくもないのだが、ポスモダって鵺みたいなものなのでそんなに単純に言い切れるんだろうか。「弄れればいいじゃん、おもしろけりゃいいじゃん、マルクスー? だっせー」みたいなチャラチャラしたポストモダニストがネオリベと共犯関係にあったというのはわかるのだが、左翼の社会運動にコミットしていたポストモダニストも少なくない。言い換えれば、イーグルトンやローティが幻滅したポストモダニズムと、彼らが牽引したポストモダニズムは連続的につながっていたのかもしれないが、それらをひとまとめにして語ることは乱暴ではないのだろうか、という気もするのである。

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