Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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「お金で幸福は買えるか?」「幸福と収入のパラドックス」Easterlin et. al. 2010

Richard A. Easterlin, Laura Angelescu McVey, Malgorzata Switek, Onnicha Sawangfa and Jacqueline Smith Zweig, 2010, "The happiness–income paradox revisited," Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol.107 No.52, pp.22463-22468.
Richard A. Easterlin, 1973, "Does Money Buy Happiness?," Public Interest, No.30, pp.3-10.
一人あたり GDP と平均幸福度の関連についての Easterlin の論文。横断的な一時点の調査データを見ると、世帯収入が高い人ほど主観的な幸福感や生活満足度が高くなりやすいという現象は、広く認められている。ところが、米国の繰り返し調査の結果を見ると、一人あたり GDP が上昇しているのに、平均幸福度は上昇していなかった。これが Easterlin Paradox と呼ばれる現象である。Easterlin (1973) の説明は、幸福感は欲望の充足度によって決まるので、欲望のレベルが一定ならば収入が高いほど幸福感も高まるが、実際には社会の平均的な豊かさに合わせて、人々の平均的な欲望の水準も高まるため、一人あたり GDP が高まっても国の平均幸福度は高まらない、というものである(大意)。

Easterlin の主張に対してはいろいろ批判もあるので、最新のデータで反批判を試みたのが、Easterlin, et. al. (2010) である。一人あたり GDP と 平均幸福度の相関が有意だという議論は、ほとんど外れ値や誤った分析のやり方のせいで、自分で分析したらやはり相関は出ない、というのが結論なのだが、分析のやり方がおかしいのは、Easterlin, et. al. (2010) のほうで、ポスト・ホックに無理やり人の分析にケチをつけているという印象は拭い得ない。Easterlin たち自身のデータは国を単位にしたパネルデータなので、パネルデータ分析の手法が用いられるべきなのだが、国単位で平均を取るなど、せっかくのデータが台無しという感じである。また、Easterlin, et. al. (2010) では、「短期的には一人あたり GDP と平均幸福度は相関するが、長期的には相関しない、という現象が Easterlin Paradox だ」といった元々の議論の歪曲まで飛び出している。また「短期的には相関するが、長期的には相関しない」という言葉の意味は曖昧である。もしも本当にあらゆる期間で短期的に相関すれば長期的にも相関するはずなので、統計解析に精通した人がこんな文を書くとは思えない。 実際の分析を見ると、プール・データで(正確にはちょっと違うが興味のある方は本文を見てください)調査時点をコントロールして平均幸福度と一人あたりGDPの偏相関を調べている。そうすると、かなりはっきりとした相関が見られる。これを Easterlin たちは短期的相関と呼んでいる。プール・データで偏相関を見ただけでは結論は出せないが、普通に考えれば 平均幸福度と一人あたりGDP の間の関係を示唆する分析結果であり、これを「短期」と解釈するのはやや無理があろう。

確かに平均幸福度と 一人あたり GDP の関連は、存在したとしても非常に弱いし、国によってはまったく関連が見られない。中国のように一人あたり GDP が上がっているのに、平均幸福度が下がっている国もある。ただ Easterlin も Veenhoven and Hagerty (2006) も、すべての国で相関があるか、すべての国で相関がないか、の二者択一で論争しており、前の記事で述べたように生産性がないように思われる。

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