Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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「幸福感の年齢・時代・コーホート分析」 Fukuda 2013

Kosei Fukuda, 2013, "A Happiness Study Using Age-Period-Cohort Framework.," Vol.14 No.1, pp.135 - 153.
年齢、時代、コーホートが幸福感に及ぼす影響を分析した論文。Easterlin's Paradox (Easterlin (1974) についての記事を参照)が時代に注目した議論だったせいか、幸福感の研究で、年齢、時代、コーホートの効果を識別/分解しようという研究は少ない。Yang (2008) が唯一の例外らしいが、私も指摘してきたように正確に推定できているのか疑わしい(Yang (2008) についての記事を参照)。そこで、Fukuda は 4 種類の分解法を用いて、年齢、時代、コーホートが幸福感に及ぼす影響を推定している。用いられている分解法は、以下の 4 つである。
  1. 年齢は二乗項(と三乗項)のみ投入し、一乗項はモデルに投入しない。「年齢 = 調査年 − 出生年」という一次従属の関係があるために、三者の効果を識別できないのだが、年齢(の一乗)はモデルに投入せず、年齢の二乗のみモデルに投入すれば、ふつうの一般化線形モデルの推定法で識別可能である。年齢と年齢の二乗は相関するので、共線性は強いかもしれないが、識別は可能である。サンプルサイズが十分にあれば、共線性が強くても推定はできる。ただし、年齢の線形の効果やライフステージによる複雑な効果があってもこのモデルでは、それを表現できない。
  2. 時代や出生コーホートの背後にある実質的なマクロ変数(例えば失業率や一人あたり GDP)を時代や出生コーホートの代わりにモデルに投入する。これは私も推奨するまっとうな方法であるが、探索的に分析したい場合は利用できない。
  3. 時代効果を時代とは相関しないと仮定する。年齢・時代・コーホート分析では、年齢、時代、コーホートをダミー変数として投入するのが標準的なようである。これはあまり線形の効果が期待できないことが多いからだと思うが、このとき、時代のダミーを調査年ごとに作った時に、このダミー変数の係数が、時代と相関しない(最近になるほど係数が大きくなる、あるいは小さくなる、といったことがない)という仮定を置くわけである。このような制約をかけることで、やはりふつうの一般化線形モデルで、識別が可能になる。このようなモデルは、景気の循環のような効果が想定できる場合には適切だが、そうでない場合には不適切である。
  4. 主成分分析を使う。まず、年齢、時代、コーホートのダミー変数を作り、これらを主成分分析にかける。ダミー変数の数が全部で k 個だとすると、k-1 本の主成分を抽出する。この k-1 本の主成分を年齢/時代・コーホートのかわりにモデルに投入する。直感的にいえば、変数の数が1つ減っているので、識別は可能になる。これらの主成分の回帰係数と、主成分分析の際の負荷量から、年齢、時代、コーホートのダミー変数の効果は計算できる。年齢/時代/コーホートの効果の標準誤差をどう計算するのかは知らないが、ブートストラップすれば、計算はできるだろう(が、時間はかかるかも)。
データは General Social Survey, 1972 - 2008 で、分析すると、上の4つの方法のうち、最初のもの(年齢の二乗項だけモデル)以外、残りの 3 つの推定値はよく似ている。特に3つ目(時代に線形のトレンドがないと仮定したモデル)と 4つ目(主成分分析を使った推定)は、非常によく似た結果であった。Fukuda は主成分分析を使ったモデルをもっとも信用している様子である。Yang (2008) の結果と主成分分析を使ったモデルの推定結果を比較すると、年齢の効果がかなり異なる。また、Yang (2008) のほうがコーホート効果のばらつきが小さい印象であるが、正確にはわからない。分析結果については、特に実質的な解釈はなされておらず、推定法の比較の方に主な関心があるようである。

3番目と4番目の方法については知らなかったので、勉強になった。主成分分析を使った方法についてはもう少し勉強してみたい。Fukuda は純粋に数学的な制約をしているだけなので、いちばん信用できる、といったニュアンスのことを書いているが、どんな制約もすべて数学的な制約だし、すべて実質的な制約でもあるので、どのような制約をかけているのか、その実質的な意味を知っておく必要はあろう。

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