Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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「15分だけの名声? 印刷物に見る知名度の社会階層とその変動」 van de Rijt et al. 2013

Arnout van de Rijt, Eran Shor, Charles Ward and Steven Skiena, 2013, "Only 15 Minutes? The Social Stratification of Fame in Printed Media," American Sociological Review, Vol.78 No.2, pp.266-289.
「知名度」の時系列的な変化を調べた論文。社会階層論では、学歴、職業、収入といった比較的調べやすい指標で社会的地位を測ることが多いが、名声 (fame) も重要な社会的資源である。名声があることが、収入の増加や出世につながることは珍しくないし、名声が名声を生むといった自己強化的 (self-reinforcing) なプロセスの存在もよく知られている。このような名声の安定に関しては、二つの対立する説がある。ここではこれらを High Mobility Hypothesis と High Mobility Hypothesis と呼んでおく。Low Mobility Hypothesis とは、名声は変化が激しく、あっという間に名声を得たかと思うとすぐに失ってしまう、ようなものだという説である。アンディ・ウォーホルの 15 minutes of fame という言葉がこの説を象徴している。一方で、名声が名声を生む、という現象から明らかなようにいったん名声をえればその後もその名声は持続しやすいとも考えられ、だとすれば変化はそれほど大きくないはずである。このような説が Low Mobility Hypothesis である。どちらが正しいのか、検証するのが一応のこの論文の目的である。

データは 2004〜2009年の間に米国で公刊された新聞、週刊誌などの定期刊行物、他国の英字新聞(合計 2200 誌のビックデータ!)で、これらの定期刊行物の中にあらわれた名前の中から、10万個の名前を無作為抽出している。これらの名前が毎年、いくつの記事の中にあらわれるかを数え、これを「名声」の指標としている。ただし、肯定的な記事ばかりとは限らないので、知名度とでもいったほうがよいだろう。また、同姓同名の人がいるとややこしいので、ありふれた名前(サンプルの中の期待出現頻度が1より大きい名前)はサンプルから除外している。なお、そもそも 2200 の定期刊行物に出てこない名前は分析の対象にならないので、それがサンプルに歪みを与えている(名声の変化はおそらく過大に推定されている)点には注意が必要である。

分析の結果、知名度の時系列相関は、0.35 程度、今年出現した名前に占める前年も出現した名前の比率は 0.85 程度で、名声の変化は大きいというべきか、小さいというべきか、微妙な結果である。ただし、非常に興味深いのは、知名度の高い名前ほど変化が小さい、逆に言えば、知名度の低い名前ほど変化が大きい、という事実である。つまり、非常に高い知名度を獲得してしまえば、その知名度は非常に強い自己強化性を発揮するが、低レベルの知名度の場合は、変化が大きい(圧倒的に知名度は下降する場合が多い)ということである。

いわゆるビックデータの解析で、検定や区間推定は一切されていない、というか、必要ない。van de Rijt, Shor, Ward, and Skiena は Low Mobility Hypothesis が支持されたと主張しているが、そもそもどの程度、知名度の変化が小さければ、 Low Mobility と言っていいのか、線引きする基準が存在しないので、仮説の設定とその操作化に問題があるというべきであろう。しかし、分析結果は上記のように非常に興味深い。時系列データ解析的に言えば、知名度に関して自己相関があり、知名度が高いほど自己相関も強まるということだが、知名度に影響を与えるようなその他の変数(収入や社会的地位など)との関係を考慮すると(そういったデータを入手するのは困難なのであろうが)、もっと議論を展開させられるかもしれない。

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