Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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三和編 2016『東アジアとアセアン諸国のコーポレート・ガバナンス』

三和裕美子編, 2016, 『東アジアとアセアン諸国のコーポレート・ガバナンス』税務経理協会.
実務的な観点から各国のコーポレート・ガバナンスについて紹介した概説書。イントロダクションと、日本、韓国、台湾の章だけしか読んでいないので、それらの章についての紹介と印象を述べる。「コーポレート・ガバナンスとは、企業の様々な意思決定に対して誰が責任と権限を持つか、またその配分をめぐる問題である」(p.4) と定義されており、どちらかと言えば実務的で、各国の法律や慣習が紹介されているだけで、残念ながら比較社会学的な議論はない。実務的観点から言えば、米国型のコーポレート・ガバナンスに各国のそれがどれだけ近いのかが問題になることが多いようである。これはざっくり言えば、企業を支配するのは株主と株式市場であるべきなのか、経営者たちであるべきなのか、という対立とも言える。株主も大株主と少数株主(少ししか株を持っていない株主をこの業界ではこう呼ぶらしい)が存在しており、米国型のコーポレート・ガバナンスでは、少数株主保護のための情報公開等が徹底されているという。一方、ドイツや日本ではこのような少数株主保護が不十分とされており、米国のようにきちんと情報公開を徹底させるべきかどうかが、しばしば論点となるようである。本書ではどうすべきか、という点ではなく、各国のコーポレート・ガバナンスの実情がどうなっているか、ということを概説している。

日本については、日本的なコーポレート・ガバナンスの長所を認めつつも、粉飾決算のような不正を防止するためにも米国型の情報公開はもう少し進める必要があると論じられている(この章だけは「べき」論になっている)。韓国に関しては創業家による財閥支配があるといった紋切り型の議論があったりしたが、総じて韓国と台湾に関しては、概ね日本と類似しており、日独型に近いものの最近は米国型にシフトしつつある、といった記述になっている。興味深かったのは、台湾では個人投資家の株式保有率が 39% (2013年度)と日本よりかなり高い点である(日本は2015年で17.5%)。外国人投資家の比率は大差なく、台湾では機関投資家の保有率が低いのである。

社会学的には、なぜこのようなコーポレート・ガバナンスの差異や類似性が生じるのか、という点が興味深いわけでそのあたりの研究成果が知りたい。また、実務よりのコーポレート・ガバナンス研究では、株主と経営者に焦点が当たっていることが多いようだが、労働者を第三のアクターとしてとらえる研究もあり(例えば国際比較ではないが Jung (2016))、そちらのほうが国際比較社会学的にはチャレンジングで実り豊かだと思う。

以前はコーポレート・ガバナンスなど投資家の保護の問題で、自分には関係ないと思っていたが、上記のように労働者も含めたポリティクスとしてとらえるならば、企業の支配構造の問題なので、階級論の中心問題と深くかかわっていると言える。

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