Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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「科学と宗教への信頼のマルチレベル分析」O'Brien and Noy 2018

Timothy L. O'Brien and Shiri Noy, 2018, "Cultural Authority in Comparative Context: A Multilevel Analysis of Trust in Science and Religion," Journal for the Scientific Study of Religion, Vol.57 No.3, pp.495-513.
信心深さ/学歴と、科学/宗教への信頼の関係が国によってどう異なるのか分析した論文。キリスト教的な文脈では、宗教と科学は対立すると考えられることがしばしばあるが、これらを対立的にとらえる場合、信心深くない人ほど、そして学歴が高いほど科学への信頼が強い(つまり宗教を信頼しない)、というのはこれまでの研究で繰り返し確認されている。しかし、このような効果がすべての社会に共通する普遍的なものだとは考えにくい。そこで国レベルの平均的な信心深さと研究開発の活発さによって、個人レベルの信心深さと学歴の効果がどのように異なるのか検討されている。仮説はいろいろ考えられるよね、という感じで、探索的な分析に近い。

データは International Social Survey Programme 2008 で、国レベルの独立変数の情報がえられた 37か国(日本も含む)である。従属変数は「私たちは科学を信用しすぎていて、宗教への信仰が不足している」という意見への賛否で、「そう思わない」または「どちらかといえばそう思わない」と答えた場合 1、「どちらともいえない」「どちらか問えばそう思う」「そう思う」は 0 とした二値変数にされている。信心深さは教会などの礼拝などの祭祀への参加頻度で測定されている。国レベルの信心深さは、個人レベルの信心深さの国ごとの平均値、研究開発の活発さは研究開発の分野で働く人の数(産業レベルか職業レベルかは不明、人口1000人あたり)である。

分析の結果、信心深くなく、研究開発の活発な国ほど、上記の個人レベルの二変数(学歴と個人の信心深さ)の効果が強くなることが示されている。結論部分ではギデンズなどをひきながら、信心深くなく、研究開発の活発な国というのは近代が深化した国であり、そういう国では個人のアイデンティティが(宗教や科学にコミットするという意味で)信頼にも大きな影響を持つ、という解釈が示されているが、そういう解釈をするなら 一人当たり GDP も近代性の指標として検討すべきだろう。ちなみに一人当たり GDP は国レベルの統制変数として投入されており、科学に対する肯定度を高める効果が示されている。

分析のまとめ方が雑で細部でわからない点が多い。いわゆるクロスレベル交互作用を検討しているが、ランダム傾きは仮定されておらず、標準誤差が過少に推定されているはずである。従属変数を無理に二値に変換する理由も不明だし、そのくせロジスティック・モデルの式は間違っている。さらに国レベルの変数の記述統計がなく、変数がセンタリングされているかどうかも書かれていないため、推定結果をどう解釈していいのかよくわからない。

日本の場合、あまり宗教と科学を対立的にとらえない人が多いと思うので、従属変数のような質問をされると「どちらかといえばそう思わない」と答える人が多いと思うが、それは科学を宗教よりも信頼しているという意味とは限らず、両者を対立的にとらえることに対する違和感の表明である場合も多かろう。キリスト教国がサンプルの大半を占めるので両者を対立的にとらえてもいいだろうと著者たちはいうのだが、私にとってはあまり役に立たないなー、という感じである。

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