Theoretical Sociology

太郎丸博のブログです。研究ノートや雑感などを掲載しています。(このページは太郎丸が自主的に運営しています。京都大学の公式ページではありません。)
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「Transnational Corporations and Global Governance 跨国企業と全球統治」Bartley 2018

Tim Bartley, 2018, "Transnational Corporations and Global Governance," Annual Review of Sociology, Vol.44 No.1, pp.145-165.
跨国企業が全球統治におよぼす影響をレビューした総説論文。跨国(ここく)と全球(ぜんきゅう)は、それぞれ transnational と global の中国語訳だが、ニュアンスをよく表しているので流用している。跨国企業とは、複数の国にわたって活動している企業といった意味で、むかしは多国籍企業とか国際企業といった言い方をしたが、現地法人を持つことは必要条件ではないし、国と国のあいだやきわで活動しているとも限らないせいか、最近は transnational という言い方をよく聞く。全休統治とは、「複数の法域 (jurisdictions) にわたる問題を解決したり、そこに秩序をもたらすための行政機関やかなり公式的なルール、基準、合意」(p.147) を指す。例えば、World Trade Organization (WTO) のような国際機関や、ワシントン条約のような国際条約、国際標準化機構 (ISO) のさだめる度量衡や経営の規格、Hazard Analysis and Critical Control Point (HACCP) のような安全管理手法の規格、は Global Governance と言えるだろう。

巨大な跨国企業は、小さな国の政府よりも大きな経済力を持っているので、人々の日常生活にも大きな影響を与えうる。全球統治に対してもお金をかけてロビー活動することができるので、複数の跨国企業が協力する場合は特に強い影響を与えうるだろう。全球統治の中には企業の利害に深く関わるものも少なくないので、企業が全球統治に関与することも当然ある。Bartley によれば、跨国企業は全球統治の 1 スポンサーになったり、2 抑制者になったり、3 直接的な提供者になったりするという。左翼寄りの議論では、跨国企業は全球統治の敵、といった単純な議論も多いそうだが、実際にはそうとは限らないので、上記の3つの役割をきちんと認識すべきであると Bartley はいう。

第一に、全球統治のスポンサーとは、条約や規格の統一を促進するために跨国企業も尽力する場合をいい、特に新自由主義的な市場環境の統一化には熱心であるという。例えば、Texas Instruments や Boeing, Monsanto といった跨国企業が WTO 設立のためのロビー活動をしたことがあげられている。

第二に、抑制者とは、逆に条約や規格の統一を抑制するために跨国企業が尽力する場合のことであり、特に人権や労働条件、環境保護に関する全球統治にたいしては、跨国企業はしばしば抑制者としてふるまうという。例えば、京都議定書を策定する際には、 ExxonMobil, General Motors, and the American Petroleum Institute といった企業ないしは企業連合が、温暖化懐疑派の人々を援助し、米国の京都議定書からの脱退を促したという。

第三に、直接的な提供者とは、跨国企業自身が全休統治を作り出そうとする場合である。例として、国際会計基準審議会 International Standards Accounting Board を Big Four と呼ばれる会計監査会社が中心となって設立したことがあげられている。

おっしゃるとおりなんだろうが、あまり驚きがない。要するに企業は自社の利益になる場合は全球統治のスポンサーや直接的提供者になるが、自社の不利益になる場合は抑制者になる、ということで、当たり前の話であろう。もう少し突っ込んだ研究成果が知りたいところである。文献リストにはおもしろそうな論文もあるので、それらを読むのがよいというところか。

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